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2022/4/4


①「東証プライム、1839社で始動 平均時価総額、1部比17%増 統治強化も利益成長欠く」

東京証券取所の再編が、今日から始動となりますね。利益水準をはじめ、国際的に投資価値のある企業を厳選し、世界中からマネーの調達を目指します。いまだに日経平均はバブル期の最高値を超えたことがありません。ここ30年間のダウ工業30種やS&P500の成長と比較すればその差は歴然です。

東証の再編はおおまかに言うと、一部、二部、JASDAQ(スタンダード。グロース)、マザーズなど分かりにくかった市場区分を、
・プライム
・スタンダード
・グロース
の三つにまとめることになります。こうして「国内外の多様な投資者から高い支持を得られる魅力的な現物市場を提供すること」を実現するのが狙いです。

・株の流動性
関連企業で株の持ち合いをすることで、経営が硬直してしまっていないか
・企業内統治(コーポレートガバナンス)
透明性のある経営・組織運営の徹底や、ダイバーシティ・サスティナビリティへの取り組みが十分か
・経営実績
今までは新規上場するのは難しいけれど、維持基準は緩和されていました。
それに対し、今後は維持が必要となり、ハードルがあがります

こうした点での「定量・定性評価」が新基準の大きなポイントになっています。ですが、これらの基準についてすら、かなりあいまいな点が多く指摘されています。

コーポレートガバナンスコードの適用に、強制力がなく、従っていない場合は説明を求められるにとどまること。それから、プライムの基準に到達していなくても、達成に向けた計画書を提出すればプライムに入れるという経過措置が設けられていること。おまけに、その経過措置の廃止時期が明確になっていないことなどです。(これじゃあ基準と言えないじゃん、というのが率直な感想です)

東証一部からプライムへの絞り込みは中途半端で、多くの(元)東証一部企業が、基準に達しないまま経過措置でプライムに参加している現状があります。こうした基準未達の企業が、全体の水準を押し下げているといると紙面は指摘しています。

時価総額の基準に関して言えば、プライムの基準である3282億円に対し、8割の企業が適合しており、それらの平均は4477億円です。しかし2割の企業が未達であり、その未達企業の平均が527億円という様相。

また売上高純利益率についても、基準は6%、また適合企業の平均も6%なのに対し、基準未達の2割の企業の平均は4.1%ということですから、投資家からの不満も噴出するのは仕方がありません。

これを機に、東証プライム企業が経営革新にのぞみ、長期的な成長につながることは勿論、だれもが望むことです。経過措置企業の達成状況が改善するかどうか、東証には、きびしく指導してもらいたいですね。



②「ウクライナ「キーウ州全域奪還」 市民が多数犠牲、虐殺か EU、制裁強化へ」

キーウ州から、ロシア軍が撤退したようです。

ロシアが包囲、占拠していた地域では民間人の遺体が多数、その中には縛られた遺体や、子供の遺体なども多数見つかったというニュースが話題を集めています。こうした事から民間人への虐殺が行われたと見られ、西側陣営からは批判が噴出していると言います。

アメリカのブリンケン国務長官は、証拠を国連機関に提出し、ロシアの責任を追及するなどの意向を示しました。EUのミシェル大統領も、追加の制裁も示唆しつつ、ロシア批判への協調姿勢を示しました。


③「米、核巡航ミサイル開発中止 前政権の計画撤回、軍縮後退に歯止め」

バイデン政権は、トランプ政権時に開発計画を打ち出していた「新型の核巡航ミサイル」の開発を撤回したそうです。

ロシアや中国への抑止力のための、追加戦力として開発が進んでいたのが「海洋発射型の各巡航ミサイル」と「小型核弾頭」で、大規模な攻撃ではなく、軍事基地や重要施設に対する限定攻撃を念頭においたものでした。小型の核弾頭については開発を継続する様です。

「潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)」の実戦配備が進んでいる背景から、高い開発費のかかる巡航ミサイルの優先度は低く、むしろ小型核を搭載したSLBMによって抑止力を高めることが可能だという考えと見られます。


④「丸井、環境配慮テナント3割に拡大 CO2排出10万トン削減」

丸井グループは、自社の事業所運営や車両移動だけで、2021年3月期に年間約5万トンの温室効果ガス排出をしています。

そこで、環境に配備したテナントを現状の1割から3割に増やすことで、CO2排出量を削減し、2026年3月期までには、10万トンの削減を行う事で、合算での排出量を今よりも減らそうという考えです。

オーダー受注や、中古品買取、レンタル、リフォームなどを手掛けるテナントがこれに当たります。すでに入居している「ファブリックトウキョウ」や「なんぼや」、中古品の梱包や発送手続きができる「メルカリステーション」などがそうで、同様に環境負荷が低いテナントの入居を増やす方針だといいます。



【社説】
パナソニックは停滞から抜け出せるか
プラ新法に実効性を持たせよ

日本経済新聞
2022/4/3 朝刊一面

①「チャートは語る 強権中国、戸惑うマネー 7400億円流出 「ロシア売り」二の舞危惧」

タイトル通りですが、中国から投資マネーが逃避し始めたと言います。

ウクライナに侵攻したロシアに対する経済制裁、および、ロシアの通貨と証券が暴落したことを受けて、中国のような強権的な政治・外交体制の国に対しての投資を見直す動きが広がっていると指摘されています。中国以外の新興国ではそうした動きは見られず、まさに異例な出来事だというのが国際金融協会(IIF)の分析です。

2022年の1~3月の外国人投資家による売り越し額(買われた額よりも売られた額が上回った金額)は、中国の債券・証券合わせて約384億元(7400億円)ともなりました。特に3月の流出は451億元。ウクライナへの侵攻が開始してからはっきりと流入基調がストップしました。

約7年間ほぼ安定して買い越しが続いていたなかで、外国人投資家が中国に向ける目は大きな転換点を迎えたとみる専門家もいるようです。

近年、アメリカと中国のマネーの「相互依存」は非常に高まってきました。
・中国 ⇒ アメリカ
2.12 兆ドル
・アメリカ ⇒ 中国
1.2 兆ドル
合計3.3兆ドルの証券・債券が相互に保有されています。このマネーの逆流が大きな流れとなれば、世界に非常に大きな影響を与えることは必至です。


米中間のマネーの「デカップリング(分断)」はすでに2016年から顕著だったと分析されています。中国政府が対外投資への審査を強化することによって、アメリカ企業に中国資本企業が買収されるケースが激減しました。またアメリカも、米国資本が中国企業へ投資することへの規制を強めています。

話はややこしいですが、「直接投資」と「証券投資」という違いを考えると良いかと思います。相互保有するマネーは量の面では確かに流入してきましたが、それは「証券投資」として配当や売却益をねらう投資運用のマネーのこと。例えば株式の10%を超すような「直接投資」のような支配力の高い投資はお互いに規制を高めて、分断のダメージを抑えるようリスクを控えてきた、と言えばわかってもらえるでしょうか。

米中がお互いに大きく依存しない、独立した経済圏の形成を目指す姿勢が見て取れます。このまま更に、量的な相互依存すらも分断に進んでしまえば、世界経済に及ぼす影響や損失は計り知れまないと専門家は危惧しています。


②「自社株買い7割増、昨年度8兆円 成長投資に回らず」

日本の上場企業による自社株買いが加速しています。前年度比7割増となり、8兆円超に上ると言います。

自社株買いとは、書いて字のごとく、上場している株式を自社で買い取ることですが、複雑な問題をはらんでいます。企業が発行した証券を企業が高値で買い取るため、売却益や株価の上昇から「株主還元(実質上の配当)」とみなす考え方が主流ですが、勿論ことはそう単純ではありません。

【企業側メリット】
・株主が企業価値を評価するROE・PER・PBRなどの指標が改善するので、より魅力的な投資先に見えやすくなる。
・ストックオプションとして社内のインセンティブに利用できる
・敵対的買収に強くなる
・企業合併や企業買収の際に、現金の代わりに自社株を交換することで、現金を調達する負担が減る

【企業側デメリット】
・他者から株を買い取ることになるので、キャッシュフローが悪化する
・キャッシュと株式を交換することで資産が縮小し、自己資本比率が低下する
・上記2点から、BSを慎重にコントロールしなければ、むしろ企業評価が下がる可能性がある


【投資家メリット】
・ROE・PER・PBRなどの指標が改善するので、より買われやすくなり、株価が上がる。
【投資家デメリット】
・株主が利確に走れば、株価が乱高下して市場が混乱する
・せっかく調達したお金を、事業に投資していないということは、今後の成長があまり見込めないのではと市場に判断され、株価が下がる可能性もある


ボリュームが多くなりました。。

リーマンショックで株が急落したとき以来に自社株買いが進んだだけに

その中で、今回のトピックとなる理由は2点
・東証再編によって特定の大株主の株を買い取り、市場に流動性をもたせる必要があった。
・資金を投資する対象である成長事業を、なかなか見い出せずにいる傾向が強い。


21年6月に改定されたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、企業同士による株の持ち合いが株式の流動性を妨げ、経営の不健全化につながっているなどの事から、持ち合い解消を求めています。それによって今後も更なる自社株買いが進むと見られています。

もともとキャッシュが潤沢と言われる日本の大企業。コロナ禍からの復活によって利益水準を少しずつ回復させている企業は少なくありません。こうして自社買いによる株主還元を経て、次に目指すところは何処にあるのでしょうか。

アクティビストファンドの注目点は企業の成長を通した利益の追求でしかなく、日本の経済そのものに対しての本来の配慮は望むべくもありません。もちろん経営の透明化は必要なことですが、それらを通して、日本の国民がどのような恩恵を受けるのかという視点を忘れないようにしたいです。


③「ロシア軍、キーウ近郊の空港から撤退 マリウポリ住民 3000人脱出」

呼称が「キエフ」から「キーウ」に変更になりましたね。ぼくも「キーウ」と呼ぶようにします。

マウリポリの人道回廊が機能していないという報道が続いていましたが、4月1日には3000人以上の住人が脱出に成功したと伝えられています。赤十字国際委員会では2日にもまた退避支援を再び試みるとしています。

ところが、どうやらこの3000人と言うのは、自力で脱出した市民とみられるようです。。十数万人の退避が進んでいない現状で、その市民がこうして包囲によって身動きをとれずにいると想像するだに、胸が締め付けられます。

キーウからの撤退が報じられるロシア軍も、迂回して東南部の援護に回ったとすれば決して事態が改善したと言えません。まずは一刻も早くマウリポリからの脱出を達成するように、両軍にたいして望んでいます。


④「対ロ制裁「参加国拡大」 ハイテク輸出規制で米高官」

アメリカのケンドラー商務次官補は、ロシアに対するハイテク製品の輸出に対して厳しい制裁を継続する考えを述べ、関係各国にも水面下で参加を促していることを示唆しました。半導体などの製品に対する対ロシア輸出規制はすでに33ヵ国に導入され、アジアのシンガポールなどを加えることで、制裁の実行力を高めたい狙いです。

また同時にアメリカは、ハイテク覇権を争う中国に対しては厳しく言及しました。中国は、半導体受託生産最大手である「SMIC」などの巨大ハイテク企業の拡大によって、半導体の自給率を着実に引き上げています。これをアメリカは非常に警戒しています。

中国やロシアに対しては今後さらに、実用化前の進行技術の流出に対しての規制を強化すると見られ、日本に対しても、連携の強化を求めています。

しかしながら、自給率を高めるということは、相互依存を解消し、圧力の効果を薄める狙いがあるという事です。「デカップリング」とも関係してきますが、結びつきが薄くなれば、圧力がかけにくくなるわけなのですが、このバランス感覚は、難しいかじ取りを求められそうです。



【社説】
「男性の育休」を古い働き方変える契機に
金融を深く学ぶ環境整えよ

日本経済新聞
2022/4/2 朝刊一面

①「INPEXが核融合発電 技術集め開発、新興3社に出資 40年代実用化めざす」

核融合発電とは、原子力発電と同じく、核エネルギーを利用する発電方法です。
・原子力発電・・・核分裂のエネルギー
・核融合発電・・・核融合のエネルギー
を利用します。

どちらも、放射性物質を排出することには変わりありませんが、原子力発電は、連鎖的に分裂反応が起こりメルトダウンを招く危険性があります。しかし核融合の場合は、必要な量の燃料を投入し、反応が終われば自然に停止するため、理論上は制御がしやすいエネルギー発電です。

CO2を排出せず、H2O(水)から産んだ重水素を燃料とするため、実質的には無尽蔵ともいえ、排出される放射性物質も「低レベル放射性廃棄物」であり、数十年で放射線レベルが低下することなどから、クリーンエネルギーとしても期待がもたれてきましたが、ここ数十年、いまだに実用可能な技術の確立には至っていません。

この度INPEXが、大学などと連携して新興企業に技術と資金を集め、日本で本格的な開発にのりだすといいます。すでに50年以上の研究実績と技術がありながら、法整備の遅れなどから開発が進んでいないという現状を打破することができるでしょうか。2040年の実用化を目指すといいます。


②「データで読む地域再生 生活圏集約が進む鹿児島 集落の利便性維持、全国は倍 兵庫・神河、住民票交付業務を受託」

少子高齢化、過疎化に伴い、中山間地で暮らす住民の生活を支えるための「小さな拠点」の整備が進んでいると言います。買い物の代行・訪問診療などや、特産物の販売なども拠点に集約することで、特に山間部の多い鹿児島では、空き店舗や昭亜を各用紙、こうした拠点が最も増加しているといいます。

地域の課題解決に向けては、様々な工夫も試されています。最新技術を活用する動きとしては、長野県ではローンで食品や日用品を宅配する仕組みを2020年に本格導入しました。

小学校の跡地をグランピング施設として活用しているのは旧常盤村です。そこに地域の農家が食材を提供することで地産地消にもつなげます。

こうした拠点サービスがなければ生活が困難な小規模集落は、今後も増える可能性が高いです。の点在する地域は、今後も住民自身も積極的に課題と向き合い協力することも肝要かと思われます。


③「マリウポリに「人道回廊」 ロシア、チェルノブイリは撤退」

ロシアは、一時停戦してマウリポリ住民を逃がす「人道回廊」を設けるとしていましたが、実際には回廊が機能せずにいると報じられています。赤十字が用意した50台のバスと支援チームが、市街地に入ろうとしましたが、肝心の住民の脱出が難航しているために断念したと言います。

マウリポリには約17万人の市民が取り残されているとも言われますが、長引く包囲と無差別攻撃によって、食料や衣料品などの物資はすでに枯渇しているでしょう。人道危機がここまで深刻になっている状況でやっと救いの手が差し伸べられると思っていただけに、このような事態に陥っていることが本当にやりきれません。

1日にはウクライナがロシア領を攻撃したという情報もつたえられ、そういった事も関係しているのかもしれませんが、罪のない市民の命が、人権が、これ以上危険にさらされないように祈るのみです。


④「介護助手の採用容易に 基準緩和、人手不足に対応 厚労省検討」

介護の現場では、介護福祉士が介護以外の業務(シーツ替えや清掃など)に時間を取られ、適切に業務をこなせない現状がたびたび起きていると言います。介護を必要とする人に対して、適切、十分なサービスを提供できないことに繋がりかねず、事態の改善が求められていました。

厚生労働省によって、介護士のサポート役を担う介護助手などの採用基準が緩和されることで現場の環境改善につなげ、また、介護報酬を手厚くすることで人材不足を解消する取り組みも行われるようです。

介護施設には、原則「入居者3に対して、介護職員1」という基準がありますが、介護助手を「0.2人分」として計算すれことなどを想定します。実際に介護施設の運営負担が軽減されるなどが期待されますが、実際の効果を2022年に実証実験し、2023年の専門家会議を経て実現へと向かうといいます。


【社説】
資源高と円安の影響に十分な目配りを
個人データの保護を強めよう

日本経済新聞
2022/4/1 朝刊一面

①「食品値上げ、店頭波及9割 物流・原料高で 主要品目調査、4月以降も加速」

小麦や大豆などの原材料価格の上昇にともない、大手各メーカーは値上げを行っています。

これまではメーカーが値上げを表明したとしても、消費者が離れることをおそれる小売店の側が拒むために自社で吸収する事例が多く、店頭価格に反映されることは稀でした。

それでも値上げが浸透している理由には、もともと物流費や人件費が上昇しているところに今回の原材料の高騰が重なったことで、メーカーが今までになく強い姿勢で値上げを要請している点が挙げられるでしょう。

原料価格の上昇に加え、円安も企業の負担を大きくしています。賃金が上がらない中でコストプッシュのインフレが進めば、消費の鈍化につながり、景気の悪化が懸念されます。


②「気候対策、業種別に開示 IFRS財団が国際基準 数値重視、企業間の比較容易に」

気候変動リスクに関する情報開示は、ESG投資の観点から、地球の環境維持に企業が貢献できているかどうかを投資家がチェックするために必要なことです。そこで、IFRS財団と言う国際会計基準の策定をおこなう機関が基準を作り、投資家が比較しやすくするということです。

サスティナビリティ―への配慮は企業にとってもはや常識です。自社だけでなく、取引先もふくめて、資源の消費や廃棄物の産出など、環境に対する影響をきちんと把握する事が求められつつあり、経済や金融と切り離すことのできない課題となりました。

もちろん適切に評価をしてもらえば、企業価値がただしく評価されるわけですが、投資家からすれば比較しやすい反面、データを用意する企業側の負担も少なくありません。中小企業にたいしてはより簡素な報告で済ませる、などの工夫も盛り込まれる予定です。

東京証券取引所が4月から設ける「プライム市場」には、順次こうした基準に沿った開示が課されるとみられ、企業は対応に追われることになるのかもしれません。


③「米ファンドのベイン、東芝の買収検討 非公開化を前提に」

株式分割プランに対して大株主の理解を得られず、株式の非公開化を視野に入れた対応を見据える東芝ですが、アメリカの投資ファンド「ベインキャピタル」が買収にむけて検討を始め、現在のj筆頭株主とのあいだで、実施時の契約などに取りかかっていることが判明しました。

筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネジメントは、TOB開始時にはベインに売却することや他のファンドのTOBには応じないことなどを約束しました。エフィッシモは東芝の株式の10%程度を保有する筆頭株主であり、東芝の再編は、非公開化が既定路線となりそうです。

ベインは単独での買収には乗り出さず、日本の金融機関や投資ファンドなど、国際的な連合の設立を進めると見られます。ベインとエフィッシモが手を組んだとなれば、他の外資系ファンドは主導権をにぎることは難しくなるでしょう。

かといって、買収が必ずしも成り立つとは限りません。国にとって特に重要な「コア業種」である原子力事業を抱えていることなどから、改正外為法による厳しい重点審査が不可欠となります。TOBの成否だけではなく、各種法的な障害も大きいことから、ベイン側も現実可能性に関して高望みはしていないようです。



④「米、石油備蓄1.8億バレル追加放出 今後6カ月間で」

バイデン米政権は、今後6カ月間にわたって1日当たり平均100万バレル、合計18,000万バレルの戦略石油備蓄を放出することを決めました。かねてからの原油価格高に加え、ウクライナ侵攻によって高騰した原油相場を冷却するねらいです。

実際に短期的な効果はみられ、WTI先物価格は一時、前日比で7%ほどの下落をみせました。アメリカの石油の生産量は約1200万バレル/日ですから、この程度の効果はあってもおかしくありません。、ただ、長期的にどれくらいの効果があるかは不明で、焼け石に水にならないことが望まれます。

とはいえ今回の備蓄放出は、近年まれにみる量の備蓄放出となることは間違いありません。ロシアの生産量は500万バレル/日で、そのうち数百万バレル/日の取引が制裁によって失われていゆくわけですから、この損失に対してアメリカの働きかけは重要な意味を持っているでしょう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR31DS30R30C22A3000000/

産油国であるサウジアラビアやアラブ首長国連邦にとっては、増産して受給を緩めることは、アメリカに利してロシアに反する行為となります。それでも産油国の協力を得ることが出来るかどうかは、ひとつ今後の大きな課題になりそうです。


⑤「18歳成人、きょうから 改正民法が施行」

改正民法で、ついに今日から18歳が成人になります。ちなみに19歳も同時に成人になるということですね。「新成人」で正しいのか不明ですが、新成人の皆さんには、おめでとうございます、とお伝えしたいです。

権利と責任は必ずセットだという事は、よく言われますね。ただ「知らなかったでは済まされない」という意味では、責任の方が大きいと言えるかもしれません。「成人になったよ、選挙権もあるよ、社会的に責任を持ちなさい」と言われても、まるで実感がないという方も多いでしょう。

偉そうなことは言えませんが、「知識の栄養」が「教養」だとすれば、どんな知識もバランスよく採り入れることが大切だと僕は思います。バランスのよい考察ができるようになると、自分の時間を効率的に使うことに役立ちます。

今の時代は、膨大な情報が世の中にあふれています。しかもほぼ無秩序に。その中で必要な知識、経験、そして精神的な強さを身に着けなければ、その報いを受けてしまうという意味では、まさに不条理な世の中だと思います。

ただでさえ多過ぎる情報に加え、コミュニティが細分化していることや、AIの働きによって、得られる情報に偏りが生じるのは避けようがありません。


違和感を感じるもの、居心地の良くない場所に慣れる努力をしましょう。それらを通じて人間は寛容さと柔軟な強さを手に入れます。既知の情報や、限られたコミュニティに閉じこもらず、常に外に視野を向け続ける心がけを忘れないでほしいです。


【社説】
未来に向けて自立した大人になろう
外国人の子供に学びの保障を

日本経済新聞
2022/3/31 朝刊一面

①「プーチン氏、侵攻で「緊張」 声で心理分析
「ストレス、平時の4割増 音声分析とは」

ロシアのウクライナ侵攻開始から一カ月。プーチン大統領の演説などの音声を解析すると、そこから色んなことを分析したり、推測したりという事ができるそうです。

音声分析では、人間の声の周波数の変化などと、その人の気分との関係をもとに心理状態を探るもので、人工知能(AI)を使って声を解析することが出来るといいます。大学などの研究によっては、うつ症状の人を見分けたという話もあり、今後の活用方法に期待されています。

緊張から声の性質が変わるというのは、僕も俳優時代によく経験しました。リラックスしたり自身に満ちている時には、低くて落ち着いた声が出やすいですし、緊張やストレスで舞い上がっているときは、喉が締まっている感じがして、かすれたり、うわずった声になりがちです。読者のなかにも、そういう経験をされている方も多いのではないでしょうか。

解析によれば、
「2/21 開戦直前」
ストレスが高い状態と低い状態が交互に繰り返され、不安定で好ましくない状態。
「2/24 侵攻開始時」
ストレスの乱高下がみられるものの、後半に向かって下降していったことから、楽観的な心理状態とも分析される。キエフを電撃的に陥落させられると考えていたと推察される。
「3/10 経済制裁で撤退する外資企業への制裁表明時」
ストレスの度合いが40%増した。
「3/18 クリミア半島併合8周年 20万人聴衆前での演説」
音声分析ではストレス値が平時よりも大幅に低い状態になった。大勢の聴衆を前にしても意欲が見られず、気分の盛り上がりに欠ける。聴衆の反応を得ようとしているが結局はうまくいかず、内気なトーンに見える

といったかんじです。個人の感想では、なんというか、先に思い込み通りに分析しているようにも思えるのですが、、 もしこういう風に心理を分析するAI技術が進んだら、演技のレッスンにも応用できるのかもしれませんね~


②「ロシア軍、東部攻撃を継続 米・ウクライナ首脳が協議 国外避難400万人」

ロシア国防省は29日、キエフやウクライナ北部チェルニヒウで軍事活動を縮小すると発表しましたが、一方で東部や南部における攻撃はむしろ激化しそうです。プーチン大統領の発言は緊張緩和というよりはむしろ、キエフ制圧に失敗したロシア軍が東部や南部に集中するためという見方が賢明かもしれません。

米シンクタンクの戦争研究所によれば、東部と南部をつなぐ要衝マリウポリについて「数日内にロシア軍が完全制圧しそうだ」と予想しているようです。このままマウリポリを占領すれば、クリミア半島とウガンスク、ドネツクを南東部を陸路で繋げることができます。これらの地域を支配下におき、戦線を国境として独立を承認させるあたりが、ロシアのねらう落とし所なのではと考えるのはある程度合理的です。

イギリスのシンクタンクが、ロシアの戦費は一日約2兆円、と発表したことが話題になっています。もちろん鵜呑みにはできませんが、現在は、大量の兵士だけでなく、ミサイルなどの高価な兵器も大量に使用して市街地への攻勢を強めているといいます。兵器というのは使わなければ古くなりますし、そういう意味での「在庫処分」から、「最新の兵器」へとシフトしつつあることも戦費拡大の要因と言われれば納得できる気もします。

避難民が400万人を超え、被害が拡大するウクライナと、戦費拡大、国内での統制にも苦難するロシア。おたがいに停戦への利害が重なりあい始めました。金融は、リスクオンにむけて準備をはじめる時期なのかもしれません。


③「中国都市封鎖、上場に影響 手続き支障、23社一時延期」

上海市のロックダウンの影響で、証券取引所で出社ができなくなる関係者が続出した結果、新規上場(IPO)予定の企業の審査手続きが次々に見送られ、中国の多くの企業や各地のほかの取引所にも混乱を引き起こしているようです。

中国は、新興企業向けの市場整備にむけて力を入れてきました。
「創業板」
開業:2009年~ 深圳取引所に開設。中国版ナスダックと呼ばれ、ベンチャー向けの上場市場となる
「科創板」
開業:2019年~ 上海取引所に開設。大企業の多い上海で、ハード系ハイテク企業(半導体など)で新興企業が積極的に上場できるよう手続きの簡素化など図る

これらの背景には、アメリカ政権とのハイテク競争があります。経済対立が明確になるにつれ、中国はアメリカ経済に依存しない資本市場を育成することを目指しているのです。さらに2021年には「北京板」という、次世代の技術(情報技術、バイオなどの分野)へスタートアップ支援としてリスクマネーを流入させるための市場を開業しました。

このように、米中対立の中でも自国の企業の国際競争力と独立性を向上させようという中国の経済政策は、中長期的に大きな成果が見込まれます。


ここのところ特に、エネルギー安全保障や資源高の面から、日本の経済基盤の弱さを露呈させる出来事が多いと感じます。市場に資金を呼び込むための東証再編も、識者の意見を聞いていると成果が良く分からないという声の方が目立ちます。短期的なリターンのみを求める投資だけではなく、長期投資によって経済活性化をめざすための仕組み作りが望まれるところです。


④「ANA、臨時便9倍に 春休み・GWに510便 国内の旅行需要回復」

どん底ともいえる時期が終わり、やっと春がめぐってきたのでしょうか??

ANAによれば、春休み期間(3月25日~4月5日)の国内旅客数は新型コロナウイルス前の19年に比べて7割の水準に回復したと言います。前年比では4割増となる計算です。

取締役の井上氏によれば、「夏以降にはほぼコロナ前の水準に戻ると期待している」とのこと。JAL も同様に、春休み、GWともに回復基調にのってきていると言います。

旅行ツアーの再開によって、阪急交通社や日本旅行も、国内旅行の急増を確認しています。まだ海外旅行がむずかしいことも、国内旅行への意欲の高さに繋がっているとみられます。


【社説】
注意すべき中国都市封鎖の経済への打撃
電力・ガス改革は不断の改善を

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