日本経済新聞
2022/3/13 朝刊一面
2022/3/13 朝刊一面
①「ロシアの侵攻、物価高を増幅 主要商品4割が最高値 米インフレ率8%台も」
ウクライナ侵攻による各国のインフレへの影響が日に日に強まっています。
ロシアの生産シェアが高い品目の筆頭には小麦があります。ウクライナとも合わせると世界の3割を供給しています。小麦の相場は侵攻後に50%ほども上昇し、3月8日には過去最高値を更新することになりました。
同様に侵攻後に最高値を更新したのは、ロシア産が高いシェアを持つパラジウムやニッケルです。また、ロシア産原料ではありませんが、製造時の消費電力の高い亜鉛やアルミニウムなどは、原油や天然ガスの価格が上昇するため、価格が急騰しています。
こうした資源価格の上昇によって、消費者物価に対してどのような影響をもたらすのでしょうか。2022年1月時点で、OECD38ヵ国の物価上昇率の平均は7.2%と、31年ぶりの数値となっていました。コロナウイルスの影響から回復しようとする過程の中、労働力不足などによる需給ひっ迫の影響から、すでに過去稀に見る物価高にあったわけです。
JPモルガンによれば、ウクライナ侵攻の影響によって原油をはじめとする価格上昇を織り込んだ2022年4~6月期の世界のインフレ率は平均で0.9ポイント(%)上昇との修正になりました。ロシアへの経済制裁などの影響からインフレが進めば世界経済の成長への妨げにもなります。
インフレに対して、アメリカのFRBは政策金利の引き上げや量的引締めの方針を発表していますが、日本はいまだに金融緩和の終了という発表はありません。とはいえ、日本がこのまま国債発行に頼った金融緩和を無限に続ければ、とうぜん円安や信用低下の懸念は強まります。
賃金の上昇しているアメリカと日本では明らかに置かれている状況は違います。このまま企業が消費者に価格転嫁すれば、日本経済は暗黒時代に陥るでしょう。岸田総理のいう新しい資本主義のもと、コロナ対策で出遅れる日本において、企業はどのようにふるまうでしょうか。
黒田総裁の任期は2023年4月までですが、それまでにどのような金融政策が打ち出されるのか。もしくは交代後の方針がどのようなものになるのか。いずれにしても、悠長にしていられる状況でないことは、誰しもの目に明らかなのではないでしょうか。
②「鴻海EV連合に国内100社 当初の5倍、トヨタ系部品も参加」
台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が進める電気自動車(EV)には、世界中の企業が共同開発企業として参加する方針が知られています。参加企業は徐々に増加し、日本からも発足当初の5倍となる約100社の日本企業が参加することがわかりました。
ガソリン車の場合はエンジン製造のために、部品会社などを何層にも束ねた産業ピラミッドを構築するのが常なのですが、それに比べてEV車の場合はエンジンが不要なため、産業ピラミッドを構築する必要性が薄れます。そこでホンハイは、自社を中心とした受託生産のネットワークを形成することを狙います。
産業ピラミッドと差別化されるのが、デジタル家電などにみられる「水平分業」です。自社は開発に専念し、製造はホンハイに委託するという分業が進めば、自前の工場がなくても自社ブランドのEVを製造することが可能になります。
ホンハイが開発計画を発表したのは2020年10月。企業連合を組んでEVの車体や通信基盤を共同開発するプロジェクトです。参加企業には設計情報が公開され、鴻海が受託生産するEV向けに部品やシステムを販売することが出来るようになります。部品の規格などを共通化して、幅広い企業の参加が見込まれました。
③「G7、最恵国待遇取り消し 対ロ共同声明 日本も検討」
ロシアに対する経済制裁として、WTOの協定に基づく関税の最恵国待遇が撤回されます。アメリカでは最恵国待遇をはずすと関税は平均で、数%から一気に数十%まで引きあがる予定です。
日本のロシアからの輸入額は1兆5448億円となりますが、法律が日本の場合は少し違います。最恵国待遇を外すことで一気に関税があがることはなく、また別に法律の改正が必要となります。
SWIFTの遮断は計画通りなら、ついに3月12日に開始されるはずですが、その効果は限定的なのではないかという見立てもありました。週明けからの報道に注目しています。
ロシアに対する経済制裁として、WTOの協定に基づく関税の最恵国待遇が撤回されます。アメリカでは最恵国待遇をはずすと関税は平均で、数%から一気に数十%まで引きあがる予定です。
日本のロシアからの輸入額は1兆5448億円となりますが、法律が日本の場合は少し違います。最恵国待遇を外すことで一気に関税があがることはなく、また別に法律の改正が必要となります。
SWIFTの遮断は計画通りなら、ついに3月12日に開始されるはずですが、その効果は限定的なのではないかという見立てもありました。週明けからの報道に注目しています。
④「ロシアの資産、1割超売却 年金基金や運用会社、世界で2.8兆円」
決済網の遮断だけでなく、投資マネーの引き上げも、ロシア経済に対する圧力が強まります。
すでに世界各国の年金や、運用会社がロシアの株式や債券を売却し、ロシア資産は次々に叩き売られています。モスクワ証券取引所の売買停止の影響により、売却は容易ではありませんが、投資家は時間をかけて売却していく方針です。買い手には、破綻企業などに投資するヘッジファンドなどがつくと見られています。
世界の投資家から見放された理由には、EGS(環境・社会・企業統治)投資の意識の浸透があるとも見られます。EGSの観点からは「ウクライナへの侵攻はほぼすべてのEGS指標に反する」ともいわれます。EGSマネーはいまや、世界のトレンドとして大きなシェアを占めているのです。
決済網の遮断だけでなく、投資マネーの引き上げも、ロシア経済に対する圧力が強まります。
すでに世界各国の年金や、運用会社がロシアの株式や債券を売却し、ロシア資産は次々に叩き売られています。モスクワ証券取引所の売買停止の影響により、売却は容易ではありませんが、投資家は時間をかけて売却していく方針です。買い手には、破綻企業などに投資するヘッジファンドなどがつくと見られています。
世界の投資家から見放された理由には、EGS(環境・社会・企業統治)投資の意識の浸透があるとも見られます。EGSの観点からは「ウクライナへの侵攻はほぼすべてのEGS指標に反する」ともいわれます。EGSマネーはいまや、世界のトレンドとして大きなシェアを占めているのです。
【社説】
中国はロシアの侵略とめる責任を果たせ
時の壁崩した強制不妊判決