2022/5/24
今夜発表される、アメリカの製造業PMI(Purchasing Manager's Index:購買担当者景況指数)が大きな材料となりそうです。企業の担当者による今後の見通しに対する指標で、四半期ごとに発表されるGDPを2カ月余り先行するという風に言われています。
予想値では前期にくらべて若干の減速となっていますので、注意が必要でしょう。
①「台湾有事に軍事関与 日米首脳会見でバイデン氏明言 共同声明、中国抑止へ協力」
初の本格来日となるバイデン大統領と日本の共同声明が発されました。
・中国の台湾進攻および、北朝鮮による軍事行動の過激化を念頭においた、アジア太平洋地域の安全保障の確認
・インド太平洋地域の経済的枠組みであるIPEFの発足による中国への包囲網
この2点に殆どのウェイトを置いたと言って差し支えないと思います。
バイデン大統領の、台湾有事の際には関与するのかという問いにたいする「Yes, それが我々の約束だ」という返答が「あいまい政策」の転換なのかという点が物議を醸しましたが、後に、あくまでも政策の変更を示すものではないという補足が入りました。
とはいえ、ウクライナへの侵攻を許してしまった事からも、中国に対して少しでも融和的な姿勢を見せてはいけないという思惑からきているのは間違いないと思っています。
②「同盟深化が促す「自立」 政治部長 吉野直也」
日本が防衛費を2%を目指して増額する決意を表したことをバイデン大統領は評価しました。
かつては、アメリカが安全保障を担う「矛」、日本が経済に集中する「盾」、という風に例えられてきました。しかし今回の声明では「2国間の役割及び任務を進化させ、共同の能力を強化させる」とし、今後は日米安保のあり方が変容するであろう事を示唆していると言えます。
しかしながら、今回のウクライナ侵攻における、経済制裁(欧米)VS エネルギー供給の停止(ロシア)という対決構造から改めて明確になったのは、安全保障というのは軍事力だけでなく、経済と安全保障は表裏一体であるという事です。
戦略物資を特定の国に依存しないサプライチェーンを整えることが、抑止力の一端を担う、、そういう側面があることを常に意識したいです。
③「米主導の経済枠組みIPEF、13カ国で始動 インド参加、台湾入らず」
インドは、経済的にも地政学的にも、中国との関わりが複雑な国です。貿易による結びつきが大きいの半面、国境を接している地域では軍事的な衝突とにらみ合いを続けています。
だからこそインドはRCEP・TPPどちらにも参加せず、バランスをとってきました。
IPEFは「枠組み」ではあるものの、TPPのような「協定」ではないため、縛りはかなり緩いもののようです。そうしなければインドが加わることは無かったという意味では、アメリカがそれだけ、対中政策のうえでインドの存在を重視しているのが伺えるとも言えそうです。
今日はクアッド(アメリカ、インド、オーストラリア、日本)による首脳会議が開かれています。南シナ海での中国に対して、ベトナムやフィリピンとの連携を強め、中国の実効支配を食い止める狙いを持っています。
また海だけでなく、宇宙分野に関しても、4国で先進技術共有や、サプライチェーンの形成にむけて確認するとみられます。
④「G7サミット、来年広島で」
岸田首相は、2023年に日本で開催されるG7サミット(主要国首脳会談)を広島で開催すると発表しました。
「平和と世界秩序と価値観を守るために結束を確認したい」と述べ、「核兵器の惨禍を人類が二度と起こさない誓いを世界に示す」とも話したといいます。
⑤「中国配車アプリの滴滴、米上場廃止を決定 当局の統制受け」
日本では「DIDI」で知られる中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)は、2021年の6月にNY証券取引所に上場しましたが、1年経たずに上場廃止することになりました。
アメリカに対する走行データなどの流出を懸念した中国の当局の意向に従うかたちで、同社は上場廃止を決定しました。
中国の習近平指導部が、ネット企業に対して情報統制を強めていることに、世界の投資家が不信感を高めると懸念されます。
【社説】
国際秩序を支える日米首脳の責務