2022/5/3

前日終値
《 ドル円 》
130.23(-0.62
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日本経済新聞 朝刊一面

2022/5/3

①「予備費、3割で使い残し〈国費解剖〉
 緊急性見誤り3.7兆円 監視体制の強化急務」

国の予算に集まる注目に比べ、国の決算はあまり注目されることがありません。2020年度までの2年間の決算をみて分かったのですが、緊急と謳われて計上された予備費でしたが、結局使い残した金額は予算10.6兆円のうち3.7兆円にのぼったといいます。

予備費は、いちど承認されれば、国会の承認なしに政府が使う事のできる予算になります。もちろん、スピード感をもって予算を充てる事ができるのは歓迎されることです。しかし今回、本来の予算ですら使い残しがあった事業に対してまで、予備費が充てられていたことが分かりました。そもそも予算編成が適正なのかどうかという懐疑も生まれます。

紙面で指摘のあった、予備費が投じられたのにも関わらず元の予算が使い残された事業の例
2019年度
・選挙候補者用無料はがき購入費 4.4億円
・国産農産物関連の自治体むけ補助金 49億円
・政府の啓発広報費 5.2億円
2020年度
・中小企業の経営支援向け補助金 415億円
・災害廃棄物処理事業の補助金 203億円
・コロナの医療提供体制確保の補助金 83億円


(個々の事業にさまざまな事情があると思うので、必要性に関してはまた個別の議論があるとおもいますが)こうした事例に対して、予備費を投じる必要があったのかどうか、という事はしっかり見ていかなければいけないと思います。

以前べつの記事では、投じられた予備費の最終的な使い道が不透明(自治体に給付したが、そこから先が追えないなど)だということが報じられていました。スピード感をもって実行することと同時に、その効果をしっかり見定められるようなお金の使い方をしてくれるように望みます。


②「教育岩盤 揺らぐ人材立国(2)空洞化する卒業証書 学び直し、企業も学校も」

「世界はとうに博士が産業革新をけん引する時代に移っている。」にも関わらず、日本はその流れに乗れていないと紙面は指摘します。

人口当たりの博士号取得者数において、アメリカ、ドイツ、イギリス、そして韓国は、2008年度から2018年度までのあいだにその値を増加させましたが、日本は100万人当たり131人から120人へと減少させました。大学院教育を重視する世界のトレンドを横目に、日本はいまだに改革がおいついていません。

卒業大学が重視されすぎ、企業に院卒採用のノウハウがないことも問題となっています。産官民の連携がもとめられるところです。

そもそも日本の教育は「履修主義」という、学生の理解度に関わらず、進級させるという風潮がとられています。その結果「高校生の7割、中学生の5割、小学生の3割が授業についていけていない(七五三の法則)」とすら揶揄される状況にもあります。こうした履修主義は大学にも浸透し、卒業証書が形骸化すると紙面は指摘します。

こうした側面から、企業の中にも社員に「学び直し」をさせることも多いということです。本来、教育課程でしっかり身につかなければいけないことが身につかず、就職してからまた無駄な時間を使い、経営資産を投じさせるというこの構図には矛盾を感じざるを得ないという気持ちはありますが、そう言うだけなら簡単です。

こうした問題を認めてしっかり向き合い、取り組みを始めるという姿勢が多くの大企業にも産まれてくれば、日本の人材事情が抱える欠陥が少しでも改善していくのでは、と期待を抱いています。


③「ウクライナ高官「今月末にも反転攻勢」 米欧武器供与受け」

欧米からの武器供与を受けて、ウクライナ軍は5月末~6月半ばには大規模な反転攻勢に出ることが出来そうだということが、大統領府長官顧問のアレストビッチ氏によって明らかになりました。

ただし、ロシア側も5月9日の対ドイツ戦勝記念日に向けて、猛攻撃に出るという見方もあります。かなり激しい戦闘が予想されると紙面は述べます。

どうやら停戦協議についてはほとんど形骸化しているようで、話題に上りません。先月末に国連が人道回廊の設置に関して触れていた報道がありましたが、ロシアとウクライナの両国が合意するかたちにはなっていません。


④「日米、半導体で技術協力 2ナノなど最先端開発 近く合意」

半導体の供給網において、台湾に大きく依存している現状に対する危機感から、日米で半導体供給のサプライチェーンの構築に協力すると、両国政府が合意しました。米中の対立の高まりとともに経済安全保障の重要性が高まる中、地政学リスクを考慮すれば、独自のサプライチェーンの構築は願ってもないことです。

特に最先端の半導体製造(2ナノメートルの微細技術)は、台湾のTSMCが世界を先行していました。対する日米の最先端の製造技術が、どこまで追いついていけるかが課題となるなか、アメリカIBMは2021年には2ナノ品の試作に成功しました。

日本の半導体メーカーは、たしかに競争力では下がったものの、「要素技術」の面では強みをもっています。半導体製造装置・シリコンウエハー・回路形成に使うレジスト(感光剤)、半導体表面の研磨剤などの必需品は、利益率は高くないものの、製造に高度な技術を必要とし、逆に、台湾も中国も日本に依存しています。

茨城県つくば市にある、産業技術総合研究所において、東京エレクトロンやキヤノンといった装置メーカーが先端ライン向けの製造技術を開発し、IBMなども参加しているといい、これからより一層の連携が期待できそうです。


アメリカIBM

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供給制約などの影響はあったものの、安定した収益と利益を上げ、安定した配当利回りを得られそうに見えますね。


【社説】
人権守り危機に備える憲法論議を深めよ
実車試験を事故減に生かそう