日本経済新聞
2022/3/4 朝刊一面

①「希少資源に調達危機 ロシア・ウクライナ産7割依存も 半導体ガス一部停止」

半導体製造や自動車の製造に不可欠な原料について、ロシアとウクライナの両国に対する世界の依存度が非常に高いということは、非常に危惧されるところでした。具体的には、排ガス触媒である希少金属のパラジウム(生産量の約40%がロシア)、希ガスのネオン、クリプトン(ロシア、ウクライナ合計で、生産量の約70~80%)については、世界中で調達に対する懸念が示されています。

ウクライナが世界の生産能力の7割を占めるとされるネオンについては、平時にはウクライナ南部のオデッサから黒海を経由して輸送されていましたが、工場も港も閉ざされてしまい、供給はストップしている状況です。中国メディアによると、将来への需給ひっ迫にたいしての懸念から、中国でのネオンのスポット価格は年初にくらべて65%上昇したと言います。

世界の半導体製造が集約する、台湾の半導体企業が抱えるネオンの在庫は、米国のモルガン・スタンレー社の推計によれば6カ月ぶんと言われています。この侵略が長期化すれば、いよいよ調達危機が本格化するかもしれません。プーチン大統領はじめロシア政府は変わらずに強硬な姿勢を見せています。戦争がどのように終結するにせよ(終結できない可能性もありますが)、どんなシナリオも決して楽観的なものとはなり得ないでしょう。

パラジウムに関して言えば、ロシア産の供給はいまのところ続いているようです。しかしながら、パラジウムに関してもこの調達不安は避けられず、業者の間でも在庫の積み増しが増える傾向にあるといいます。とはいえ、いまは免れていても、ゆくゆくロシアの金融機関との決済手段が断たれる可能性もあり、パラジウムの代わりの調達先を探すことは世界中の企業にとって、目をそらせない課題になりつつありそうです。

岸田文雄首相は3日の記者会見で「原材料、特に輸入に依存するものは調達先の多様化など様々な取り組みが求められる」と述べたようですが、はたして官民の連携はきちんと機能することが出来るでしょうか。(もちろん期待してはいるのですが、岸田首相はフワッとしたニュアンス発言が多いイメージがあるので)日本企業が被る被害の大きさへの影響が左右されるこの出来事、政府の手腕をしっかりと見せてほしいと思います。


②「ウクライナ外相「ロシア最大手銀行も制裁を」 日本の関与を期待
③「2回目の停戦対話開始 侵攻1週間、都市攻撃続く

アメリカをはじめとする日欧米諸国がロシアに対する制裁措置としておこなうSWIFT(資金決済網)からの排除に関して、ウクライナのクレバ外相が不満を表明しました。

米欧が排除を決めたのは、ロシア主要7銀行にとどまり、エネルギー調達のための決済を考慮したかたちとなり、ロシア最大手銀行のズベルバンクなどを始め、制裁の対象になっていない銀行があることに触れ、クレバ外相は、SWIFTからの排除というペナルティーによってロシア国民が不利益を被れば、「プーチン大統領の決断によって国民が苦しむ」という図式を浮き彫りにできると考えているのではと思われます。

ウクライナ、ロシアのどちらとも関係を保ちたい中国は、ロシアに自制をうながしつつも、時には擁護するような発言を見せるなど、微妙な立場からこの戦争を見守っています。クレバ氏は、停戦に向けて中国の直接の関与が必要だと主張し、日本に対しても、中国に協力を呼び掛けるようにも要望しているとのことです。

二度目の停戦交渉では、「人道回廊確保」が合意されましたが、僕はこれによってむしろ、ゲリラ戦の様相を呈し、戦争の長期化につながるのではないかと心配しています。非武装と中立という、およそ両立しそうにもない条件をつきつけ、譲歩する姿勢を見せないプーチン大統領には、まるで理性があるとは思えません。それでも彼が矛を収めるときはくるのでしょうか。。


④「NY原油が上昇、一時116ドル台半ば リーマン以来の高水準

原油価格の上昇に歯止めがかかりません。日米も予備備蓄を放出するなどの発表をしましたが、焼け石に水とはこのことかもしれません。


⑤「ウクライナ侵攻 危機の世界秩序(7)中国誤算、泥沼化に苦慮」

紙面では、中国はこの戦争を、自国が台湾へ侵攻することを想定したときの大きなプラクティスケースと捉えているはずだと指摘しています。

もともとロシアは、サイバー攻撃なども絡めた「ハイブリッド戦」をしかけ、電撃戦でウクライナを制圧する予定でした。しかし結果はこの通り、短期決戦には至りませんでした。中国自身、すくなくとも、専守防衛を構えた台湾に対して「シュミレーション通りにはいかない」可能性をより考慮に入れなくてはならなくなったのです。さらに、国際社会の包囲網がどれだけ厳しいものなのかを思い知ることになりました。

もちろん対アメリカの最大のパートナーであるロシアに対しては可能な範囲で手を差し伸べるのは当然の対応ながら、しかし他方で、ロシアがウクライナに傀儡政権を樹立することを手離しで支持するわけにもいかないのです。その理由は中国とウクライナが貿易上のパートナーであることだけではありません。

それは、こうしたロシアの侵略を肯定することは、台湾やチベット、新疆ウイグル地区に対して独立を認めることや、さらにはアメリカによる内政干渉にすら理由を与える結果に繋がりかねないからだと筆者は指摘しています。

そうした中、中国の国家主席である習近平氏は、自身の国内での権力維持に関しても決して気を緩めることは許されません。明日開幕する全人代では、中国のウクライナ情勢への姿勢がどのように変化していくのか、世界中が見守っています。


⑥「まん延防止、18都道府県で延長へ」

水際対策の緩和で、一日あたりの入国者は5000人から7000人に引き上げられる様です。技能実習生など在留資格の外国人は数十万人が入国待ちになっています。感染者数とバランスを見ながら増やしていくということですが、観光目的の入国はまだ認めるのはだいぶ先でしょう。

飲食店の営業と、感染(陽性)拡大のあいだの関連性が低いというか、予防効果が薄いという論調をもつ知事の発言がたまに見られるようになりました。ステルスオミクロン株とかいうニュースも見受けましたが、よく理解できませんでした。べつの媒体ですが。個人の意見ですが、本当に大切な情報、重要な情報が埋もれてしまわないよう、よくわからない単語は使わないようにしてもらいたいと思っています。

【社説】
プーチン氏は撤退求める世界の声を聞け
東芝再生に挑む異色の新社長