日本経済新聞
2022/3/1 朝刊一面

①「世界経済、ロシア排除加速 英BP撤退・ダイムラー提携解消、中国の対応焦点に」
②「ロシア、20%に大幅利上げ ルーブル最安値更新、インフレ抑制狙う」
③「ウクライナ中銀総裁「カード決済網も排除を」 ビザなどに要請」
④「米、ロシア中銀とドル取引禁止 日銀も資産凍結へ」

世界経済が全体でロシアを排除しようとする動きが続々と広がっています。イギリスの石油大手はBPがロシア事業から事実上の撤退、ドイツのダイムラートラックHDもロシア企業との提携を解消。各国の機関投資家が保有するロシアの株式や債券を売却しました。通貨ルーブルは暴落し、ロシア中央銀行は通貨防衛に追われました。

主な通貨防衛策として
・外国為替市場で自国通貨を買い支えする
・政策金利を引き上げて為替の下落を抑える

という対応が考えられます。

米欧の制裁によって、外貨準備を使用してルーブルを買い支えすることは難しくなりました。またロシア国内の輸出企業に対して、保有する外貨を売り払いルーブルを買い支えることが義務付けられましたが、いまのところ通貨の下落に歯止めをかけるには至っていません。

ロシア中央銀行は、政策金利を9.5%⇒20%に引き上げることでルーブルの魅力を保ち、為替の下落を食い止めるとともに、貨幣価値が相対的に下がることによるインフレの悪化を抑制したいという狙いがあります。すでにロシアのインフレ率は1月末時点で8.7%と、目標年4%に対して大幅に上回る水準までインフレが進行しており、これ以上に物価が上昇すれば、国民の生活に致命的な支障をきたす恐れがあります。

中国は、こうしたロシアの侵攻に対して支持することは避けつつも、経済的な打撃を受けたロシア経済については支援する方針とされているようです。

日本がこうした経済制裁に乗り遅れなかったことはもちろん喜んでよいのかと思います。あとは中国が台湾への布石をどのように打ってくるか。もちろんヨーロッパはロシアへのエネルギー依存が大きかったですが、逆に言えば、小麦、エネルギー、半導体の原料となる希ガスや鉱石(ネオン、パラジウムなど)への世界的な依存度は高かったものの、資源の輸出産業に限られます。それに対し中国の経済が世界のGDPに占める割合は約17%と、ロシアとは規模が違います。

中国に対する経済制裁に対して、どれほどの効果と副作用があるのか、はたして想像の範疇に収まりません。ここまで中国の経済成長および供給網の依存を看過してきた事に対する報いが訪れるとき、日本はその最前線にいるという事は間違いないとは考えます。


⑤「トヨタ、国内全工場停止へ 部品会社にサイバー攻撃」

トヨタの主要な取引先がサイバー攻撃を受けたことが発表されました。システム障害が起これば、部品の供給がとどこおるため、全工場において操業を中止することになりました。


⑥「ウクライナ侵攻 危機の世界秩序(4)エネ安保、不作為に警告」

原油価格が7年7か月ぶりに1バレル100ドルという大台を超え、ヨーロッパの天然ガス価格も急騰しました。ロシアは石油が世界3位、天然ガスが世界2位の生産国です。世界的な脱炭素への動きはいまだに過渡期にあることがポイントでした。開発投資が石油から脱炭素に移行する中で、石油の需給はいまだにひっ迫しており、だからこそ産出国であるロシアには、エネルギーを依存している欧州がロシアに対して強く出られないだろうという目算がありました。しかし投資家や市場はむしろ、こうした石油やガスという資源を権威主義国に頼ることへの疑問と、そこからの脱却を願うようになり、脱炭素への傾斜を増すことになりそうです。そこがロシアにとっては逆効果となったと言えます。

ヨーロッパ諸国は再生可能エネルギーによる発電計画を改めて見直ししつつ、石油や天然ガスの供給源をシフトするでしょう。液化天然ガスの最大の輸入国である日本としては、市場が統一されることによって原発の再稼働を含めた、エネルギー計画の再考が迫られるかもしれません。

紙面では、日本のエネルギー安全保障の観点が不足していたことの不備を指摘しています。石油にせよ天然ガスにせよ、ほとんどを海運に頼る日本ですが、北はロシア、西南は中国による進出が懸念されます。原始力発電所はミサイルの格好の標的となり得ます。どのようにして自国のエネルギーを確保するのか。ウクライナ危機をど乗り越えるにせよ、いま一度考えなおす必要がありそうです。


【社説】
日本は国際秩序維持へ対ロ戦略見直しを
新卒採用は対話重視を貫け