日本経済新聞
2022/2/24 朝刊一面

①「米欧日、対ロシア経済制裁を発動 銀行・国債を対象 バイデン氏「侵攻の始まり」」
「米ロ首脳会談を撤回 プーチン氏「停戦合意は消滅」」

ロシアは22日に、ウクライナ東部ルガンスク州とドネツク州の、新ロシア派が支配する地域の独立を承認しました。

ウクライナ本国と対立衝突を繰り返す反政府組織に対し、ロシアが一方的に独立を承認しました。アメリカのバイデン大統領はこれを「侵攻のはじまりだ」と述べ、国際協力によりロシアの勢力拡大を抑止することを主張しました。ウクライナ政府は当然、反政府軍の存在を認めませんから、衝突は続くことになります。そこへロシアが「平和維持のため」の支援と称して占領地に対して軍を派遣すれば、まさにロシアがウクライナの土地へ侵攻したのと同じことになるわけです。

アメリカをはじめ欧米日EU各国は、ロシアに対する経済制裁を決定しました。バイデン氏はこれを第一弾として、対応次第で制裁を強化することを強調し、これ以上の侵攻に対して抑止力としたい意向を示しています。

第一弾は、ロシア大手銀行2社との取引制限や、個人の資産凍結、ロシア国債の発行、流通の停止など。またドイツは独露を結ぶ天然ガス管「ノルドストリーム2」の認可手続きを停止しました。銀行間の国際決済ネットワーク「SWIFT」からロシアを排除する案は、第一弾からは延期されました。

ロシアにとってはウクライナが対西側諸国との最前線です。独立承認された地域は、ソ連時代から炭鉱や鉄鉱石の鉱山があり、ウクライナでも有数の工業地帯であることも、この地域にこだわった理由の一つであると考えられます。

どのようにして、ロシアの侵攻を抑止することが出来るか、バイデン大統領の手腕が問われます。


②「〈コロナが問う 医療再建〉(中)進まぬ病床再編 医療資源集約へ新機関を」

2021年1月、コロナ対応の病床使用率が8割を超え、搬送先の見つからない救急車が立ち往生する事態がたびたび見られました。負担がひっ迫したことにより、システムの適切な利用ができずに事態の把握が進まず、結果、用意されたリソースを活用することができなかったことを挙げ、紙面では、医療機関全体の統合が必要だと指摘しています。

アメリカの場合は日本と同様に民間の病院が多い国ですが、ニューヨーク州は市中の病床を5万床から14万床に増やす方針を示し、各病院に対し最低でも50%を増床するように求めました。それが日本でできなかった理由として、日本では1000床を超えるような大病院の割合が少ない点があると言います。急性期病床は高い診療報酬がのぞめるため、医師や看護師のすくない中小病院が急性期を設置することで利益を確保する傾向がみられるのだそうです。そのため、平時には世界でも最高レベルのサービスを提供できても、有事の際には小回りが利かずに、負担ばかりが増えて対応が進まない今の体制が出来上がってしまったということです。

今後またどんなパンデミックが訪れても対応できるよう、各病院の連携をスムーズにするための仕組みづくりを、政府主導で行うことが肝心なのかもしれません。


③「トヨタ、満額回答へ 社長「認識の相違ない」 春季交渉」

春闘という言葉は最近は「春季交渉」になったんですねぇ。トヨタ自動車は、この度の労使交渉では賃上げおよび一時金の要求に関して、労働組合の要求に対して満額回答する方針を示したとのことです。

企業がコストを価格転嫁するなかで消費がおちこみ、業績に悪影響をおよぼすというデフレスパイラルに終止符が打たれる日が早く訪れることを祈ります。


【社説】
喫緊の課題に向き合い国会で議論深めよ
太陽光パネルの処分を適切に