日本経済新聞
2022/2/15 朝刊一面

①「キリン、ミャンマー撤退へ 国軍系企業と交渉難航 現地事業の環境一変」

2011年に民政移管したのをきっかけに多くの海外資本を呼び込むことになり、日本からも約400社が進出してきたミャンマーでしたが、2021年のクーデターによって軍事政権に逆戻りしました。欧米をはじめ世界の企業がミャンマーから撤退するなか、国軍系企業との合弁会社を運営していたキリンHDもミャンマーからの撤退を決定しました。

ミャンマーで軍事クーデターが起こってから、約1年が経ちます。国軍は大統領から全権を奪い取りましたが、一部の地域では民主抵抗勢力が立ち上がり、現在、凄惨な内戦状態にあることが報道されています。そんな中、国軍系の企業との合弁事業を継続すれば批判の的となるのは当然避けられません。

撤退を決めた合弁子会社はキリンHDの海外事業の中では成功事例と言えました。ミャンマーのビール市場のシェア8割を占め、キリンHDの連結事業利益の1割を担うほどでしたが、今回のクーデターの影響では466億円の減損損失(投資の回収ができなくなったことによる損失)を計上しました。利益の話は抜きにせよ、このまま事業を継続して軍事政権に利することはできないため合弁の解消を決意し、彼らのもつ株式を国軍系以外の企業に移譲してもらうよう交渉してきましたが、先方はそれを拒否、ついには決裂したという事です。

民政移管後も国軍は強大な勢力を維持し続け、すべての企業の8割は軍と何らかの関わりを持つとすら言われたミャンマー。国軍系企業との関係は避けようが無かったにせよ、日本はミャンマーを「アジア最後のフロンティア」として官民を問わずに投資してきました。それが国軍への資金になるという可能性は、国際社会からの批判の原因ともなっていました。

クーデターが起きたあとに国軍系企業との合弁を解消するのは、今回のキリンHDが初めての例といいます。欧米に比べて投資のウェイトが大きい日本は、撤退するにも一筋縄にはいきません。バイデン大統領は、ミャンマー国軍への追加の経済制裁を警告し、ドル凍結なども見据えてます。今後、日本政府や企業がどのような対応をするのか。ミャンマーの情勢とともに注視したいです。


②「人権侵害防止、企業に指針 強制労働排除へ経産省 供給網調査で手順」

「人権デューデリジェンス」という取り組みが世界のスタンダードになりつつあり、日本でも欧米に遅れて、今年の夏までには指針を作成すると言います。

UNIQLOを擁するファーストリテーリングが、新疆ウイグル自治区での強制労働問題で世界から批判をあびたことはご存じの方も多いと思います。世界では、消費者の知らないところで、商品の製造過程に、過度な低賃金、性別、障害などの境遇による差別、労働安全衛生の問題などが起こり続けているのです

そうした形で知らず知らずのうちにも人権侵害の一端を担ってしまわないよう、企業側にも、自社の取引先に強制労働などが無いかの調査を行うことを義務付けることで、人権侵害リスクを把握し、予防しようというのが「人権デューデリジェンス」の指針です。実際にアメリカでは、新疆ウイグル自治区の産品を輸入することを禁ずる法律が成立するなど、ペナルティとともに実効性をもたせられ始めています。

とはいえ企業にとっては、どこまで調べて証明をすればいいかという線引きが重要です。自動車の製造過程において、何重にも重なった下請けの取引先まで責任を持たなければならないとなると、企業の負担は計り知れません。どのような基準で、調査の結果をどこまでを担保すればいいのか、行政のガイドラインの策定に託された課題は小さくないでしょう。


③「対ロ経済・金融制裁用意 G7「ウクライナ侵攻なら」」

ウクライナ情勢が緊迫していることをうけ、主要7カ国(G7)の財務相は14日、ロシアがもしウクライナに対して侵攻することがあれば「迅速かつ強調された強力な対応」を取るという声明文を発表しました。

米バイデン大統領、仏マクロン大統領による、露プーチン大統領との対談において「対話を継続する」という言葉は得られたものの、両陣営の配備する軍の規模は徐々に大きくなっていますし、各国の大使の家族が帰国するニュースは後を絶たず、緊張は増すばかりです。


④「日銀「指し値オペ」応札ゼロ 長期金利低下、日経平均616円安」

日銀は、長期金利の上昇を受けて、これ以上国債が売られて市場金利が上昇することは看過できないとして14日、「長期金利が0.25%以上にならないよう、無制限に買い受ける」ことを発表しましたが、結局のところ、どの金融機関もそういった応札を入れませんでした。

ウクライナ危機によって、リスク資産である株式の市場は大幅にダウン、そのリスク回避資産として国債や金(ゴールド)が買われる傾向となったため価格が上がり、10年物国債の利回りは低下、金については一時、約一年半ぶりの高値をつける結果となりました。

国債が買われる ⇒ 国債の値段が上がる ⇒ 国債の利回りが低下する
「10年物国債の利回り」=「長期金利」
リスクオン(株が買われたり、金利が高ければ新興国の通貨でも買われる)
リスクオフ(債権や金、原油が買われたり、通貨の安定性が高い方が買われる)
この仕組みに慣れるだけで経済ニュースが読みやすくなると思います。



⑤「ファイザーワクチン1000万回分追加 厚労省合意、来月に調達」

2回目のワクチン終了は全人口の80%
3回目のワクチンの接種は高齢者で20%、全人口の10%程度とのこと
今年1月~2月までのワクチンの輸入量は4600万回分。そのうち、4分の1程度を小児用のワクチンと政府は説明しています。


【社説】
アジア地域の安定へ日本も米戦略支えよ
アサリ産地偽装の再発防止を