日本経済新聞
2022/3/28 朝刊一面

①「グリーンバブル 「排出ゼロ」LNG、根拠薄く 水増し疑いのCO2削減量で相殺 国内販売の一部で」

「CO2排出ゼロ」と銘打つLNG(液化天然ガス)が日本で出回り始め、また今後も需要が伸びる可能性が期待されていますが、問題も指摘されているということです。

LNGはたしかに石炭に比べて燃焼時のCO2排出量は半分ほどで済むのですが、生産からタンカーでの輸送には、それなりのCO2が発生します。発生してしまうCO2について、反対にCO2を削減するための事業に投資することで相殺する、「カーボンクレジットの購入」によって「CO2排出ゼロ」になるという仕組みです。

カーボンクレジットの諸問題については以前も書きました。
https://hiromis0823.com/archives/14166920.html

もちろん、クレジットの購入費は価格に反映されるため、顧客が購入するときの価格は、約3~6%割高になる計算だそうです。

今回、紙面が指摘しているのは、そのクレジットが本当に削減量を反映しているのか、きちんと検証できていない可能性があるということです。

植林や森林の保全(森林伐採の阻止)などは長期にわたるプロジェクトであり、そのために調達した資金がきちんと使われ、効果が出たかどうかは追跡調査しなければ分からないわけです。実際にインドネシアやペルーのとある森林保全事業では、乱伐が行われるリスクを無くすために発行したクレジットにもかかわらず、クレジットの発行が無くてもそうした乱伐が起こるリスクは無かったのではないかと思われるような疑いが持たれているといいます。

今後カーボンクレジットを利用した「CO2ゼロLNG」の需要拡大が予想されるなか、オーストラリアでは、クレジットの信用性を高めるための仕組みの整備において、先駆的な取り組みをしています。

温室効果ガスの排出量の算定根拠などの統一だけでなく、クレジットを購入する企業の側にも、購入したクレジットの「事業者や事業の詳細」「事業が認証を受けた時期」「排出量が相殺される予定日」などの情報を公開し、第三者が確認できるシステムを作りました。

利用企業が、発行企業にたいして定期的にレポートを求めるような力学を発生させることで、温室効果ガスの排出量削減の実効性の担保に繋がるでしょう。ただでさえ削減ハードルの厳しい日本にとって、短期的には負担になれど、かならず長期的な利益をもたらすはずです。


②「「プーチン氏、権力に居座るな」 バイデン大統領演説 国務長官釈明「体制転換求めず」」

バイデン大統領は、26日にウクライナの隣国であるポーランドの首都ワルシャワで、演説を行いました。プーチン大統領に対する批判も大半を占めましたが、この中で「プーチン大統領が権力の座に居座ってはならない」という発言を問題視する意見もありました。

ロシア側がその言葉を「アメリカがロシアの政権転覆を宣言した」という理屈に利用し、攻撃の口実にされるのではという危惧が持たれたのです。

アメリカのブリンケン国務長官は翌日「バイデン氏の発言は、プーチン氏がウクライナや他国に対して戦争や侵略を仕掛ける権利はない、と主張するものであり、ロシアの体制転換への戦略があるわけではない」と釈明しました。

ポーランドでの演説は、民主主義と専制主義の対立をしっかりと強調し、周辺国の結束を促す狙いがあったと思います。NATO加盟国の国土を一インチたりとも侵害させない、という強いアメリカの意思を示し、NATOの傘の下でウクライナに対する支援を強化・継続させていきたいということでしょう。

ウクライナ国防省によれば、ロシアが作戦変更してウクライナを東西に分断する方策を検討しているという情報もあります。もしそうなれば、東ヨーロッパの秩序が乱れる可能性があります。アメリカとしてもそれは避けたいところなのだろうと思います。

ロシアとの交渉において中国との足並みを揃えたいなか、バイデン大統領の「失言」がこれ以上の傷口を広げる結果にならないことを望みます。

また、経済制裁もそうですが、こうした西側諸国の結束が本当に戦争の激化や長期化を防ぐことに繋がるのかどうか、きちんと意識して考えなければいけないと思います。抑止なのか、煽っているのか、よく分からなくなってきています。



③「ウクライナ対応「評価」67% 本社世論調査 内閣支持61%、6ポイント上昇」

日経新聞社とテレビ東京が行った世論調査で、内閣支持率が2月から6ポイント上昇して61%となりました。ウクライナ侵攻に対する政府の取り組みは67%の回答が「評価する」となり、「評価しない」の22%を大きく上回りました。

ウクライナ侵攻に対する制裁といった大きな出来事について、経済的にどのような影響が起こるのか常に予想できない中、無難な選択をとっている岸田内閣の支持率が上がったことに不自然はないでしょう。

ですが内閣を支持する理由の第一位が「人柄が信頼できる」で34%、不支持の理由の一位が「指導力がない」というのはなんとなく情けない結果かなと思いました。


④「上海が都市封鎖 きょうから、2地域に分け 感染拡大で」

中国の上海でも都市封鎖を実施すると発表されました。ハイテク企業の集積する深圳につづき、金融機関などの集積する国際都市上海での封鎖は、中国の海外企業にも大きな影響を及ぼしそうです。

オミクロン型など、感染力の強い変異型が原因で感染拡大が続いているようで、26日には新規感染者数が3000人近くに達していました。小規模地区ごとの単位で行われてきた封鎖では収束の兆候が見られず、ついに大規模な封鎖に踏み切るようです。


【社説】
こども家庭庁は本来の役割を果たせるか
ミャンマーに合意履行を迫れ

9月29日(木)20時開催!

日本経済新聞
2022/3/27 朝刊一面

①「チャートは語る 高齢者、長引く受診控え コロナ下、認知症治療22%減 健康寿命縮む恐れ」

コロナ禍における受信控えが「健康寿命」の短縮化につながる可能性が指摘されています。

平均余命を表す「平均寿命」に対し、日常生活に支障をきたさない(寝たきりや、介護を必要としない)「健康寿命」というものが注目されるようになってきました。どちらも右肩上がりのグラフを形成し、平均寿命は男性81.4、女性87.5。健康寿命は男性72.7、女性75.4。

健康でいられる期間が長いほど、医療費や介護費用が抑えられると考えられますから、単純に健康寿命をどれくらい伸ばせるか、ということが社会としては重要な課題となっているのです。

コロナ前に比べて、リハビリの利用、認知症の診療がともに減少していますが、リハビリを怠ったり、出かける機会が減ることによって「フレイル(虚弱)」状態に陥る可能性が高まり、要介護認定者が増えて、結果的に医療費や介護費がかさむ恐れがあると言えます。


②「米、核使用の厳格化見送り 対ロシア抑止力維持」

バイデン大統領が同盟国に対して伝える「核体制の見直し(NPR)」において、もともと検討されていた更なる厳格化を見送りました。核兵器の使用を厳格化すれば、ロシアの核兵器使用に対する抑止力が低下するという判断だと言われています。

バイデン大統領自身はもともと、オバマ大統領による「核なき世界」の理念を引き継いだ副大統領であり、核軍縮を訴える与党民主党のリベラル派の支持を受けている人ですから、支持層に対しては若干逆行する選択なのかなとも思います。そもそもウクライナに対する核使用が起きた場合、核での対応ということが出来ないわけですから、何が正解かちょっと分からない状態です。

戦争の拡大、長期化や、ゼレンスキー大統領の連日の各国国会での演説などにより、アメリカ国内でもロシア侵攻に対する見方としては、かなり積極的に関与する方向に傾いてきたイメージがありますから、その点、選挙への影響は少ないのではないかとは思います。


③「大卒採用、来春18%増 景気減速なら見直しも 本社1次集計」


日本経済新聞社が26日まとめた2023年春入社の新卒採用計画調査(1次集計)で、大卒の採用計画は22年春の実績見込みと比べて18.3%増となったそうです。2022年の見込みは4.4%増でしたから、大幅に改善が見られたといっても良いでしょう。コロナ禍終了にむけて、優秀な人材を確保のために企業の争奪戦が予想されそうです。特に人材ニーズが高いのは理工系の人員で、デジタル化や脱炭素に対する対応に迫られる企業の実態を投影しているようです。

紙面では、ウクライナ侵攻による世界経済の減退によって採用計画の見直しが起きる可能性を指摘しています。


④「クウェート石油に1200億円 日米欧で融資、増産を支援」

ウクライナ侵攻の影響で需給がひっ迫(供給より需要が強い)し、これからもするであろう石油の調達に対して、産油国に対する調整が試みられています。

日米欧の金融機関が連携して、原油国であるクウェートに対する直接的な融資による支援をすることで増産を促し、価格の安定につなげるねらいです。



【社説】
食料危機の回避へ国際協調を急げ
技術生かし介護の負担減を

9月29日(木)20時開催!

日本経済新聞
2022/3/26 朝刊一面

①「社長100人アンケート 景況感「悪化」4割に増加 ロシアの侵攻・資源高で 販売価格「転嫁」78%」

日経新聞社が、国内の主要企業の社長・会長にたいして3カ月に一度おこなうアンケートで、145社からの回答を得たところによると、景気が「悪化する」が4割を占め「拡大」を7ポイント上回りました。こういった景気の見込みに関する数値を「景況感」と言い、日銀が行う統計調査で「DI」という指標で表されたりもしています。

もちろん最大に景況感が悪化したのはコロナ禍が拡大した2020年6月調査で、指標はー63となりました。そこから持ち直してくるかというところで「ウクライナ情勢の悪化」また「資源や原材料物価の
高止まり」などが新たな壁として立ちふさがりました。

ウクライナ侵攻が自社の22年度の最終損益に及ぼす影響について、3割以上の会社が無回答でした。ロシアでの事業を停止せざるをえない企業も少なくなく、直接・関接的な影響がどうなるか測りかねているのだろうと考えられます。

ロシアが高い生産シェアを持つ、小麦、原油、天然ガス、ニッケル、アルミなどの価格は過去に類を見ないほどに高騰しています。そうした価格を「販売先へ価格転嫁する」という回答が約8割を占め、その負担が、供給網の末端にある中小企業へのしわ寄せが起こる可能性は非常に高いと思われます。


②「データで読む地域再生 水道網、141の街「若返り」 老朽管交換費の捻出へ工夫 福岡・行橋が値上げ 奈良では運営統合」

上下水道やトンネル、橋梁など、全国的なインフラの多くを占めるのは高度経済成長期に増設されたものです。これらの老朽化は日本の抱える大きな悩みの種でもあります。修繕するにせよ、維持するにせよ、限られた財源を有効活用しなければならないため、工夫をすることが重要です。

上下水道に関して一部の市町村で、財源確保に向けた独自の取り組みが進んでいるようです。人口減少で利用者すなわち収入が減っている上水道について、値上げを行って修繕費用の確保につなげます。周辺地域に比べて割高となれば、利用者が流出してむしろ減収になる悪循環に陥る可能性もあるため、住民や企業への理解を深めるための取り組みを行いました。

運営の一体化によるコストダウンも広がっています。奈良県の大半の市町村によって、水道事業を統合する覚書が締結されました。これによって施設整備費用を260億円削減することができる見通しです。メーターの検針や受付を民間委託するなどの試みで、コストの効率化を目指します。

また近年では、人工知能(AI)などの最新技術による管理体制の変化によって、財源をより適切に分配できるようになるとも期待されています。破損しやすい場所をAIによって割り出したり、衛星から地表に電磁波を送り反射率によって水道管の漏れを検証するような試みが、各地の自治体で進んでいるといいます。


③「北極圏ガス投資凍結 日仏、対ロ制裁で送金停止 操業遅れも」

2023年に操業開始を予定していた、ロシア北極圏のLNG(液化天然ガス)開発事業である「アークティックLNG」について、日本やフランスが、新規投資を凍結していることが分かりました。資源関係の開発事業で、日本の投資が停止したと明らかになったのは初めてだといいます。とはいえ原因は銀行からの送金が行えなくなったことが主な要因であり、プロジェクトに対する権益の放棄という事ではないようです。

「アーク2」は全体で2.5兆円にも及ぶプロジェクトで、ロシアの大手ガス企業ノバテクが6割を出資し、中国企業が2割、フランスのトタルエナジーズが1割、三井物産とJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の合資会社が1割という権益をそれぞれ持ちます。

トタルも、権益を手放すことはむしろ、ロシアの投資家に対して利することになるため、制裁の趣旨に反するとして、撤退は否定しています。

フル稼働すれば、ロシアからの輸入の3割、日本の年間総輸入量の3%を担うことになる計画なだけに、ウクライナ侵攻に由来するロシアへの制裁の行方が注意深く見守られます。



④「米・EU、エネルギー協力 首脳合意、米国産LNG供給拡大」

EUのフォンデアライエン欧州委員長とバイデン米大統領は25日に、EUのロシア産化石燃料への依存を下げることを目的として、共同タスクフォースを設立することで合意しました。

主な内容はこちら
・LNG調達におけるロシア依存の軽量化
・天然ガス利用じたいの削減


2021年のEUの天然ガス輸入のうち、ロシア産は45%となっています。ロシアとEUの関係悪化に伴いロシアへの依存度を下げることが求められ、アメリカは他国とも協力してEUにむけた天然ガスの追加供給を実現し、EU側も施設や法律面で、受け入れ態勢を整備します。

また、化石燃料への依存を減らすことも重要な課題として、クリーンエネルギー普及の加速をめざします。ヒートポンプ拡大によって火力発電
の効率を上げたり、クリーン水素の製造といった新技術での協力するとされています。


【社説】
国際結束をロシアの即時撤退につなげよ
地価の回復力を見極めたい

9月29日(木)20時開催!

日本経済新聞
2022/3/25 朝刊一面

①「SMBC日興を起訴 相場操縦罪、大手証券で初 副社長逮捕 公正な価格形成阻害」

金商法は市場での公正な価格形成の阻害が一般投資家の不利益につながるとして、相場操縦に最も重い刑罰を科しています。相場操縦は個人だけでなく法人に対しても罪を問う事が出来る「両罰規定」が可能となっており、今回は、事態を重く見た検察によって、金融商品取引法違反によって、法人が起訴されるとともに、副社長も逮捕されることになりました。大手証券会社が相場操縦で罪に問われるのは初めてです。

2019年から2020年11月にかけて、SMBC日興証券がおこなった「ブロックオファー」(大株主から引き取った株を、自社の顧客から客づけして手数料を得る)に際して、値が落ちてしまい商談が流れる事態にならないように、不当に買い支えて値動きを安定させるという行為を行いました。これがまさに、今回の「相場操縦」の概要です。小糸製作所、モスフードサービスなどの株が今回の事件の対象となりました。

執行役員のヒル容疑者をはじめ当事者は「正当な業務の範囲だった」と否認、佐藤副社長も「報告を受けていたが、違法性の認識はなかった」と説明しているといいます。


②「北朝鮮が新型ICBM発射 EEZ内に落下、全米射程に」

北朝鮮は24日午後2時33分、日本海に向けて弾道ミサイルを発射しました。北海道の西側、日本の排他的経済水域(EEZ)に落下したといい、打ち出されたのは、理論上アメリカの東海岸まで届く(アメリカ全土が射程)とされるICBM級のミサイルだと分析されていると言います。

岸田文雄首相は訪問先のブリュッセルで記者団に「許せない暴挙であり断固非難する」と述べ、国連安全保障理事会の決議違反んであると指摘し、「日米、日韓はじめ連携して対応する」と国際社会に強く抗議の意思を発信しました。

林芳正外相とブリンケン米国務長官、岸信夫防衛相とオースティン米国防長官はそれぞれ電話で30分ほど話し合い、日米同盟の抑止力の強化が重要だと確認しました。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は24日に開催した国家安全保障会議(NSC)で非難を述べ、韓国軍は北朝鮮への反撃を想定した軍事訓練を行いました。

③「ウクライナ武器支援を強化 NATO・G7首脳 対ロ追加制裁へ」

NATOとG7は24日、ブリュッセルで開かれた首脳会議において、ウクライナ向けに追加の武器支援を決定しました。アメリカ国防省などにより、ロシアが生化学兵器の使用を検討しているということが報道されていますが、そうした兵器に対処するための装備品を供与する考えでも一致しました。

また、経済制裁についても、すでに方針が決定した制裁について、完全実施すると共に、必要に応じてさらなる措置の適用を考慮しうることも声明に加えられました。

ちなみに今日、ロシアメディアによって、ロシア側であるチェチェン治安部隊によって、東南部の都市マウリポリの一部が制圧されたという報道がなされました。ウクライナ政府によっても、今回はじめて捕虜の交換が実施されたことも告げられています。

ロシアにとって、キエフ制圧やゼレンスキー大統領の退場が最終ミッションであったとしても、犠牲になっている市民や家族の気持ちや、さらなる大量破壊兵器による恐怖におびえる人々のことを思うと、どうにか、長期化や過激化が進まないことを願うばかりです。


④「東芝、非公開化を検討 会社分割案は総会否決で白紙に」

東芝は株主に対して、会社分割することによって、企業価値を高める提案をしてきました。いわゆる「コングロマリット・ディスカウント(企業がおおくの事業を手掛けることによって、相乗効果によって活性化し容積が上がるよりはむしろ、規模が大きいせいで利益率が低下すると見られ、それが株価としても低く見積もられる出来事)」の解消を目指してのこの分割案だったと思いますが、、たしかに意思疎通の迅速化や、事業価値の明確化などのメリットはあるものの、いまだに株主の反対は根づいようです。

株主と一言にいっても、会社側と対立しているのはいわゆる「アクティビスト(モノ言う株主)」と言われる投資家です。ほかの大株主の中からは、彼らから株式を買い取って上場を廃止(株式の非公開化)し、少数の株主によって中長期的な視野での事業再建にむけて進みだそうという提案が出ているようです。

現経営陣(島田社長兼CEOは今月1日に社長に就任)は、引き続き企業価値向上のあらゆる方策を考え、株主の理解を求めていくといい、あらゆる選択肢をテーブルから除かない方針です。アクティビストから株を買い取るには多大な資金が必要となります。国内の機関投資家に打診がはじまっているといいますが、ハードルは決して低くなさそうです。


⑤「エネルギー多様化で供給途絶防ぐ IEA閣僚声明」

国際エネルギー機関(IEA)は24日、日米欧など加盟31カ国の閣僚による理事会で、エネルギー源と供給手段の多様化をうたった共同声明をまとめました。エネルギー安全保障、という観点から、供給途絶を回避するため、ロシアへの依存を減らして各国の協力を確認しました。液化天然ガス(LNG)高級網の強化が課題となりますが、具体的な議論はまだ始まったばかりのようです。


⑥「円、一時122円台 6年3カ月ぶり安値」

日銀の黒田総裁が、緩和の継続、円安の許容を示したことなどから始まった円の急落。日本国債が売られ、一時、長期金利(10年国債の利回り)が0.23%まで上昇しました。日銀が金利を抑え込むために0.25%の「指値オペ」で介入する(国債を無制限に買い入れる)のではという見方が広がり、円がさらに売られました。

この円安はしばらくは収まる材料がなさそうですね。。


【社説】
東芝は長期株主と信頼築き再建を前に
一線越えた北のミサイル発射

9月29日(木)20時開催!

日本経済新聞
2022/3/24 朝刊一面

①「侵攻1カ月、ロシア戦況膠着 制圧地域拡大せず 人道危機、深刻さ増す」

アメリカ国防省によれば、ロシア軍がこの10日間で支配地域を拡大できておらず、ほとんど前進できずにいると分析されているそうです。支配地域は国土の約4分の1程度とみられています。

ウクライナ軍がロシアから入手したとされる機密文書によれば、キエフ陥落に2日、侵攻完了に2週間程度しかかからない計画であったとされますが、侵攻開始から一カ月が経とうとしているいまも、ウクライナでは戦闘が続き、人道危機はいまだに深刻な状況にあります。民間の死者は1000人とも2000人とも、何万人とも言われています。数えることができない、というのが正確なのだと思われます。

軍事サイト「Oryx」がまとめたロシア軍とウクライナの損失状況データによれば、ロシアがウクライナの3倍以上の装備の損失を受けている事になります。そもそも侵攻が計画通りにいかなかった理由としては、補給部隊がスムーズに進まないことが指摘されています。

このまま進行が長引けば、補給にかかるコストはさらに増大し、戦費の負担がロシア政府に更に重くのしかかります。世界銀行によればロシアの軍事支出は年間617億ドルですが、侵攻を続ければ、1日あたり1.5~2億ドル/日の支出が続きます。これは弾薬・燃料・食料など軍隊(兵士)の維持にかかる費用です。

戦費の問題だけではありません。スコット・ベリア米国防情報局長は8日、ロシア軍の死亡者を2000~4000人と推計しましたが、20年間のアフガニスタン戦争で命を落とした米兵は2461人と言われていますので、この一カ月でロシアは近年では例を見ないほど大量の兵士を侵攻によって死なせているという事になります。

米欧による経済制裁によって戦費の調達はますます厳しくなりますが、むしろ戦況はエスカレートすることになるかもしれません。これ以上の長期化を望まないロシア軍は、ウクライナの抵抗力をそぐために、無差別の砲撃を繰り返していると見られます。東南部の都市マウリポリでは、避難所や商業施設も標的となり、深刻な人道危機にさらされています。


②「人への投資、開示広がる 718社、女性登用目標は5割 従業員満足度2割」

「人的資本」というのは、人材を企業のコスト要因として捉えるのではなく、企業価値を向上させるための投資とみなす言葉です。ESG(環境・社会・企業統治)の観点からも、「人的資本」への投資の重要性は認識されていて、情報を開示する動きが広がっています。

1.資格応援などの教育やトレーニングプログラムといった従業員のスキルアップ
2.管理職における男女比率の是正
3.最適配置・ストレスチェックといった職場環境の改善


こうした取り組みによって企業利益の最大化をもたらす為の研究が進んできました。ソフトウェア開発や知的財産など、無形資産への関心が高まるなか、企業がこうした「人的資本」への投資をいかに効率よく活用しているかが企業価値の向上につながるとかんがえる投資家も多くなりました。

簡潔に言えば、能力があれば登用されたり、働くにあたってストレスのない環境が整えられているほうが優秀な人材が集まるので、株主配当に還元したり内部留保してPBRを挙げるだけでなく、こうした投資への評価が投資家にとっても非常に重要になっていること。また、経済成長にとって良い影響があるという認識が広まっているということでしょう。

男女共同参画であったり、年齢や国籍に縛られずに雇用・登用を推進する事で人的資本の充実を図ることは、企業経営や投資家、行政にとっても、もはや常識となっていることは以前のブログでも触れています。

参考
https://hiromis0823.com/archives/14611968.html

2021年には「人的資本」への投資に関する統合報告書を発行した企業は718社に上り、そのうち5割が、女性観利息の登用目標を開示しました。また従業員の研修体系を示した企業は3割を超えました。

紙面では双日、リコーリース。NTTデータなどの企業名が挙げられています。例えばリコーリースは従業員の研修体系の充実を図り、「経営者養成塾、SDGs(持続可能な開発目標)ワークショップ、育児休業からの復職セミナーなどを用意」しているそうです。

社内環境の整備も重要です。従業員の働きがいを高め、生産性改善や離職防止につなげようとする働きを開示する企業も少ないながら、今後は増えてくるのではないでしょうか。

アメリカの証券取引委員会は2020年から人的資本の開示を義務付け始めました。日本でもその流れは踏襲され、今後は具体的な数値目標などの開示を求める流れが進みそうです。


③「ゼレンスキー氏「日本、対ロ制裁継続を」 国会演説、初のオンライン」

アメリカ議会では、真珠湾攻撃を引き合いにだし(日本では物議をかもしましたが)各国の国会でさまざまな演説を繰り広げて議員や国民に支援を呼びかけてきたゼレンスキー大統領ですが、日本の国会でのオンライン演説では特に大きな波紋は呼ぶことはなさそうです。

日本政府や企業が共同出資する、天然ガスのプロジェクト「サハリン1」「サハリン2」についての撤退を求めるような発言は出ませんでした。「サハリン2」からは、英国の石油会社が撤退を決めていますし、ドイツでの演説は、ロシア産の石油パイプライン「ノルドルストリーム」をギリギリまで維持したことを糾弾する様な内容でしたから、例えば安倍内閣のロシアへの融和政策を責めるようなことも予想されただけにそこは気になる点でした。ある意味、ロシアに対する手札を残す狙いもあるのかもしれません。

ソ連崩壊以来、親しい関係が続いた親日国家らしく、「アジアで初めて支援を表明してくれた日本への感謝」「このまま制裁の継続を」などという主旨で、日本には比較ポジティブな言葉で呼びかけました。むしろ、停戦後の支援に関する期待を持っているような印象を受けました。ウクライナではロシア軍によって破壊されたインフラ関係の被害が甚大になっています。

ロシアの侵攻を津波に例えたり、サリンなどの化学兵器を使った攻撃も想定されることなどを伝え、巧みに日本にむけたスピーチを心掛けたゼレンスキー大統領でしたが、「ヒロシマ、ナガサキ」について触れることはありませんでした。その点はアメリカに気を遣ったのかもしれません。


④「首相、物価対策29日にも指示 「原材料高に対応」」

岸田内閣は、ウクライナ侵攻の影響による物価高騰への対策の策定へと進んでいると言います。

原油高に対するトリガー条項(元売り業者への減税。端的にはガソリン価格が下がる)と補助金(業者への補助金なので価格転嫁が緩まる程度)との間でいまだに議論が揺れるなか、財源の問題なども含めて慎重な対応を求められます。

今月中に策定されるという政策パッケージの中身を気にしたいと思います。


【社説】
侵攻1カ月、いつまで暴挙を続けるのか
許されぬ選挙対策のばらまき

9月29日(木)20時開催!

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