日本経済新聞
2022/4/8 朝刊一面


①「ロシア、デジタル鎖国で世論操作 政府側、1000万超SNS拡散 偽情報で世界と分断」

日本経済新聞社が調べたところによると、ロシア拠点、ヨーロッパで普及するSNS「テレグラム」内で、100を超えるアカウントが、フェイクニュースを拡散していると見られるといい、特に侵攻が膠着したことなどから3月半ばから、発信を活発化させていると分析しています。

特に、4月に入り、ロシア軍による民間人の虐殺が報じられてからは、遺体の映った映像をめぐって、ロシアとウクライナが双方をフェイクだと非難しあう状況になっています。

フェイクニュースの対策技術が進歩した影響で、捏造や加工が看破されやすくなり抑止力になっているらしく、西側メディアでは偽情報の検証が活発に行われることで一定の歯止めがかかっていると言います。

こういったお互いのプロパガンダ告発は、見ていても釈然としないというか。自分がこういうCG技術に詳しいわけではないですから、もしかすると西側もこうした活動を行っているのかもしれないと考え出すと、何を信じていいか分からなくなりますね。


②「国連人権理事会、ロシアの資格停止を可決 民間人殺害」

国連総会は、7日に開いた緊急特別会合で、国連人権理事会でのロシアの理事国資格停止を成多数で可決されました。またそれを受けて、ロシアが自ら離脱を表明したと報道されました。

ちなみに
日米欧など93カ国が賛成
中国やロシア、北朝鮮など24カ国は反対
インドやブラジルなど58カ国は棄権


国連人権理事会というものの権限が良く分かりませんが、国連加盟国の中で人権の保護にきちんと務めているかどうかを、ある種取り締まるような役割があるのかと思います。

国連の中では、西側諸国を中心としてロシアを戦争犯罪者として糾弾する流れがありますが、反対に、新疆ウイグル自治区などで人権問題を抱える中国などからすると、こうした決議が成立すると立場が悪くなるという面もあるのだと思います。

「人権」そのものは勿論、何にも代えがたい価値のあるのもですし、人権保護の観点は決して失うべきではありません。ただ、こうして中国が巨大化し、米中の経済的対立軸が出来上がるまで中国を大きくしてしまったのは、まさに欧米だという見方もあると知りました。

そんな中、近年ではEGS投資にマネーが流れ、金融の世界ではサスティナビリティだけでなく、サプライチェーンにおける人権意識も問われる状態になっている。これは皮肉に感じざるを得ません。

またシリアやイラク・イランで起きた出来事が、ウクライナで起きている出来事と異なっているのはどういった点か。そういった視点を抜きに、目に入った情報で一方的に断罪したり糾弾するという二次元的な考えでは、国際社会を生き抜くのは難しいと思います。自分自身、肝に銘じたいと思います。


③「G7、ロシア産石炭禁輸・段階廃止 首脳声明、石油依存減も加速 石炭輸入制限、日本も検討」」

主要7カ国(G7)は首脳・外相による共同声明で、ロシアの民間人殺害にたいして強烈な言葉で批判しました。「恐るべき残虐な行為を最も強い言葉で非難する」「この侵略の立案者であるプーチンとその加担者に払わせる代償を更に高める」という事が述べられています。

また、ロシアの輸入物品(エネルギーを含む)についての新規投資を禁止することや、石炭輸入の段階的な廃止・禁止も盛り込まれました。

萩生田光一経済産業相は、「代替国を見つけながら段階的に減らし、最終的には輸入しない方向をめざす」と表明し、G7の声明に協調する考えを示しましたが、石油や天然ガスの開発事業は継続すると言います。日本の輸入におけるロシア産石炭は11%のシェアがあります。

とはいえ、ロシアが日本の権益を認めるのか。もし天然ガスプロジェクト「サハリン2」が接収されるようなことになれば、いよいよ関係はそうとうな緊張に陥るとも思われます。他国はその辺、どうなのでしょうか。機会を見つけて調べようと思います。


④「石油1500万バレル追加放出へ 首相「国家備蓄、初の活用」 IEAと協調」

国際エネルギー機関(IEA)が決定した6,000万バレルの石油備蓄の追加放出のうち、日本が1,500万バレルを担うようです。過去に石油備蓄の放出が行われたのは、民間備蓄からの放出でしたが、今回はじめて、国家備蓄からの放出となるといいます。

日本の輸入量は日量248万バレル。そのうちロシア産は日量9万バレルです。仮に1500万バレルを半年で放出するとなると、日量8万バレルを充当することが出来ます。


⑤「コロナ後見据え銀座に高級旅館 ヒューリック、1泊最高30万円」

新型コロナの収束を見据えて、宿泊施設への投資が世界的に活発化しています。不動産大手のヒューリックが、東京・銀座で高級旅館「ふふ」を新たに開業するというニュースです。

「ふふ」は僕も、はるか昔に一度だけ行ったことがあります。当時からしても散財だったことは否めませんが、限られた機会の贅沢として、とても満足できた記憶があります。にしても銀座で温泉旅館が楽しめるとなれば、世界の富裕層がこぞって利用する様が目に浮かびます。そんな日が来るのはそう遠くないのでしょうね!


【社説】
核政策を維持する米国の現実的な判断
危機直視し温暖化ガス削減を

日本経済新聞
2022/4/6 朝刊一面

①「日本生命が年金予定利率下げ 1.25→0.5%、5200社影響 21年ぶり 給付水準維持は企業に難題」

日本生命が、企業から預かる年金保険の予定利率の引き下げを発表しました。2023年4月~引き下げh21年ぶりとなり、長引く超低金利の影響で、予定運用利率を下げざるを得なくなりました。

予定金利と言うのは、保険会社が個人や企業から預かった保険料を運用する際の約束利回りのことです。生命保険会社は、年金基金の運用ポートフォリオの一部を担っています。1.25%の利回りを約束される安定した運用先が利率の引き下げを行えば、基金はポートフォリオの見直しをしなければならなくなります。

2階建ての公的年金を補完する、その上の3階部分にあたる企業年金である確定拠出年金の運用額は、実に67.5兆円。このうち、日本生命は1割を運用しているといいます。

去年すでに引き下げを発表した第一生命につづき、今回、日本生命も引き下げを発表した事をうけ、今のところは水準を維持するとしている明治安田生命、住友生命保険についても、追随は避けられないとの見方もあるようです。

生命保険確定拠出型の年金は、運用実績によって受け取り金額が変わりますが、確定給付の場合は、運用利回りから逆算して保険料を決定しています。掛け金を積み増しするか、予定利率を引き下げるなどの対応が必要となっていました。


②「対ロシア追加制裁、EUが石炭禁輸案 米は週内に」

ロシアが軍を引き揚げた、キーウ周辺で多数の民間人遺体が見つかったことを受け、米欧はロシアへの更なる制裁を加える方針です。

石炭の輸入禁止という案も上がっているようです。さすがに石油については踏み切れないところでしょうか。

民間人の虐殺という報道が世界中からバッシングを受け、特にバルト三国などヨーロッパではロシア大使が追放されたりと、外交縮小にむけて大きく舵をきる国もでてきました。というよりは、非難するための建前が揃ったという側面もあるのかと思います。


③「ゼレンスキー氏、安保理改革訴え 「国連は機能不全」」

安全保障理事会は常任理事国に拒否権があることによって国際的な政治バランスを保つことができるはずでしたが、現実には、拒否権があることによって対立を解消できないことから、冷戦の一要素を構成ました。

そして今回、常任理事国であるロシアが直接的な侵攻にふみきった時に何が起こったかと言えば、安全保障理事会ではロシアへの制裁に対してロシアが拒否権を発動するのみならず、中国とインドは決議を棄権しました。国連憲章によって世界の平和と安全を成就を掲げた国連ですが、ゼレンスキー大統領の言う通り、今まさに機能不全を起こしていると言っても差し支えないと思います。

おそらくこれから、安全保障理事会の改革が着手されると思いますが、日本の立場がどのようになるのか、非常に気になるところです。


④「10年債利率、7年ぶり上げ 0.2%に、市場金利の上昇反映」

市場金利が抑え込まれるなか、新発国債の金利が7年ぶりに引き上げられました。FRBの利上げや金融緩和の縮小によって、市場金利の上昇圧力は高まっています。市場実勢にちかい水準を反映したと紙面にはあります。

3月に行われたアメリカ連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が発表され、2022年の金利引き上げに対して全員に積極的な内容が伺え、今後の金融引き締めと利上げについては、大きな進路変更はなさそうだと感じています。


⑤「コスモHD、旧村上ファンド系が筆頭株主に 5.8%取得」

アクティビスト(モノ言う株主)として有名な村上世彰氏の関わる投資会社が、これまでの筆頭株主であるUAEの政府系ファンドが売却した株を買い集め、共同保有者と合わせて実質の筆頭株主になったとのことです。

UAEのファンドは非化石燃料に投資を振り向けるそうです。村上ファンドと言えば、富士石油の筆頭株主でもあり、石油元売り大手2社の筆頭株主として、どういった業界変革をもたらすのでしょうか、とても興味があります!


【社説】
政権半年でも経済再生の道筋が見えない
パワハラなき職場へ対策急げ

日本経済新聞
2022/4/5 朝刊一面

①「炭素半減に最大30兆ドル IPCC報告 30年目標、投資促す」

「2030年までにCO2の排出量をいまよりも半減させるためには、最大で30兆ドルの投資が必要になります」と言われても、天文学的な数字過ぎて頭に入ってきませんね。

2020年のGDP
世界・・・・85兆ドル
アメリカ・・21兆ドル
中国・・・・15兆ドル
日本・・・・5兆ドル

また、アメリカの民間設備投資は全体で2.8兆ドルとなっています。製造業なども当然含んでいますが、最低でもそれに匹敵する額の投資が必要という計算になります。現在よりも平均で3~6倍の水準で投資がおこなわれない計算になるとのことです。

とりあえず、再生可能エネルギーの投資や開発にむけられる資金が、いまよりもはるかに増えないと達成できないのは間違いない、と言いたい事は理解できました。

ちなみにCO2排出量は1位の中国、2位のアメリカ、3位のインドで世界の半分を占めます。
https://www.jccca.org/global-warming/knowleadge04
もちろん人口当たり排出量でいえばアメリカがダントツです。

国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」によれば、温暖化によって激しい自然災害がもたらされ、経済的な損失が甚大になります。投資の必要性の根拠として、温暖化対策に莫大なコストがかかったとしても、その損失がコストを上回る可能性が高いとしています。

IPCCの報告書によれば、太陽光発電や風力発電は、技術の進歩によって導入コストが下がってきているといいます。温室効果ガスの削減効果が1トンあたり、100ドル以下になるように再生可能エネルギーがコストダウンできれば、2030年までに、排出量の半減は達成可能と見られるそうです。

ロシアからの天然ガス輸入をストップし、石油、石炭燃料などに移行つつあるEUにおいても、長期的な「脱炭素」の方針に変更はありません。太陽光、風力などの再生可能エネルギーや、電気自動車などの技術を持つ企業にとっては、そういった投資の必要性が追い風になりそうだと紙面は指摘しています。


②「EU、対ロ制裁の強化検討 キーウ近郊、市民410遺体発見で 石炭・石油に輸入停止案」

キーウから撤退したロシア軍の行いが次々に報じられ、バイデン大統領をはじめ、プーチン大統領を「戦争犯罪」「戦争犯罪人」として糾弾するうごきが欧米で活発化しています。

EUが制裁をさらに強化する見通しだといい、イギリスのフィナンシャル・タイムズによれば
・制裁対象者の追加
・輸出制限の強化
・石炭、石油、ガスなどの禁輸
などが検討され、6日にも協議が開始されるそうです。

EUh天然ガスで4割、原油で2割超をロシアからの輸入に依存してきました。特に影響の大きいドイツ、フランスも大きな決断をせまられるかもしれません。

日本はどうなるでしょうか。プーチン大統領の個人資産の凍結や、決済システムからの排除には協力してきましたが、金融的な制裁には加わっているものの、輸出入の禁止に関しては慎重に行っている印象です。制裁という言葉には感情的なものが混ざって感じますが、国益の最大化がすべてですから、冷静かつ客観的な判断を継続してもらいたい。と常に思っています。


③「ウクライナ穀物輸出4分の1 黒海封鎖で足止め100隻 3月」

ウクライナ政府によると、輸出ルートである黒海のオデッサ港がロシアによって封鎖されている影響で、小麦やトウモロコシの輸出ができなくなっているそうです。小麦の輸出で世界5位のウクライナからの供給が止まれば、市場価格の高止まりも懸念されます。

国際海事機関(IMO)は3月に「人道回廊」になぞらえて、洋上の商船を逃がす「海上回廊」の設置を求めましたが、両軍の協力は得られず、黒海の海域では民間商船の戦闘被害が相次いでいます。代替ルートの確保を急ぐウクライナは、ルーマニア政府に対し、同じく黒海に面するコンスタンツァ港の利用を打診したそうです。


④「宅配ドローンに保険 年内解禁に備え あいおいニッセイ」

ドローンへの規制緩和が2022年のうちにも行われ、住宅地での自動飛行が解禁されると言われています。輸送中の事故リスクが高まることを予見し、あいおいニッセイ同和損害保険がドローン向けの保険を開発することになりました。

今後、大量のドローンを使用する物流企業が増えると見られています。数百台規模のドローン飛行を一括で管理するシステムにたいして保険をかけ、管制システムなどを運営する会社が利用すると見られます。

実際に楽天グループや、ANAホールディングスが、日用品や医薬品などの配送事業の準備を進めているといい、実現すれば今後の業界に大きな変革を産みますね。


⑤「東証新市場スタート プライム指数0.5%高」

昨日、東証新市場がスタートしましたが、大企業が構成するプライム市場の値動きは、0.5%高と、市場価格に大きな違いはなかったようです。

昨日も書きましたが、中長期的な企業価値の向上には、企業がどれほど成長戦略をくみたて、それを株主にしっかり伝えることかと思います。

ダウ30種やS&P500のように、激しく入れ替わるような指標とはなり得ないのが、やはり日本らしい点と言いましょうか、、超大企業が株式市場をけん引するアメリカのモデルが唯一の正解とは言えないかもしれませんし、長い目で見ていようとは思っています。



ロシア「戦争犯罪」の真相を徹底究明せよ
東証再編さらに投資家目線で

2022/4/4


①「東証プライム、1839社で始動 平均時価総額、1部比17%増 統治強化も利益成長欠く」

東京証券取所の再編が、今日から始動となりますね。利益水準をはじめ、国際的に投資価値のある企業を厳選し、世界中からマネーの調達を目指します。いまだに日経平均はバブル期の最高値を超えたことがありません。ここ30年間のダウ工業30種やS&P500の成長と比較すればその差は歴然です。

東証の再編はおおまかに言うと、一部、二部、JASDAQ(スタンダード。グロース)、マザーズなど分かりにくかった市場区分を、
・プライム
・スタンダード
・グロース
の三つにまとめることになります。こうして「国内外の多様な投資者から高い支持を得られる魅力的な現物市場を提供すること」を実現するのが狙いです。

・株の流動性
関連企業で株の持ち合いをすることで、経営が硬直してしまっていないか
・企業内統治(コーポレートガバナンス)
透明性のある経営・組織運営の徹底や、ダイバーシティ・サスティナビリティへの取り組みが十分か
・経営実績
今までは新規上場するのは難しいけれど、維持基準は緩和されていました。
それに対し、今後は維持が必要となり、ハードルがあがります

こうした点での「定量・定性評価」が新基準の大きなポイントになっています。ですが、これらの基準についてすら、かなりあいまいな点が多く指摘されています。

コーポレートガバナンスコードの適用に、強制力がなく、従っていない場合は説明を求められるにとどまること。それから、プライムの基準に到達していなくても、達成に向けた計画書を提出すればプライムに入れるという経過措置が設けられていること。おまけに、その経過措置の廃止時期が明確になっていないことなどです。(これじゃあ基準と言えないじゃん、というのが率直な感想です)

東証一部からプライムへの絞り込みは中途半端で、多くの(元)東証一部企業が、基準に達しないまま経過措置でプライムに参加している現状があります。こうした基準未達の企業が、全体の水準を押し下げているといると紙面は指摘しています。

時価総額の基準に関して言えば、プライムの基準である3282億円に対し、8割の企業が適合しており、それらの平均は4477億円です。しかし2割の企業が未達であり、その未達企業の平均が527億円という様相。

また売上高純利益率についても、基準は6%、また適合企業の平均も6%なのに対し、基準未達の2割の企業の平均は4.1%ということですから、投資家からの不満も噴出するのは仕方がありません。

これを機に、東証プライム企業が経営革新にのぞみ、長期的な成長につながることは勿論、だれもが望むことです。経過措置企業の達成状況が改善するかどうか、東証には、きびしく指導してもらいたいですね。



②「ウクライナ「キーウ州全域奪還」 市民が多数犠牲、虐殺か EU、制裁強化へ」

キーウ州から、ロシア軍が撤退したようです。

ロシアが包囲、占拠していた地域では民間人の遺体が多数、その中には縛られた遺体や、子供の遺体なども多数見つかったというニュースが話題を集めています。こうした事から民間人への虐殺が行われたと見られ、西側陣営からは批判が噴出していると言います。

アメリカのブリンケン国務長官は、証拠を国連機関に提出し、ロシアの責任を追及するなどの意向を示しました。EUのミシェル大統領も、追加の制裁も示唆しつつ、ロシア批判への協調姿勢を示しました。


③「米、核巡航ミサイル開発中止 前政権の計画撤回、軍縮後退に歯止め」

バイデン政権は、トランプ政権時に開発計画を打ち出していた「新型の核巡航ミサイル」の開発を撤回したそうです。

ロシアや中国への抑止力のための、追加戦力として開発が進んでいたのが「海洋発射型の各巡航ミサイル」と「小型核弾頭」で、大規模な攻撃ではなく、軍事基地や重要施設に対する限定攻撃を念頭においたものでした。小型の核弾頭については開発を継続する様です。

「潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)」の実戦配備が進んでいる背景から、高い開発費のかかる巡航ミサイルの優先度は低く、むしろ小型核を搭載したSLBMによって抑止力を高めることが可能だという考えと見られます。


④「丸井、環境配慮テナント3割に拡大 CO2排出10万トン削減」

丸井グループは、自社の事業所運営や車両移動だけで、2021年3月期に年間約5万トンの温室効果ガス排出をしています。

そこで、環境に配備したテナントを現状の1割から3割に増やすことで、CO2排出量を削減し、2026年3月期までには、10万トンの削減を行う事で、合算での排出量を今よりも減らそうという考えです。

オーダー受注や、中古品買取、レンタル、リフォームなどを手掛けるテナントがこれに当たります。すでに入居している「ファブリックトウキョウ」や「なんぼや」、中古品の梱包や発送手続きができる「メルカリステーション」などがそうで、同様に環境負荷が低いテナントの入居を増やす方針だといいます。



【社説】
パナソニックは停滞から抜け出せるか
プラ新法に実効性を持たせよ

日本経済新聞
2022/4/3 朝刊一面

①「チャートは語る 強権中国、戸惑うマネー 7400億円流出 「ロシア売り」二の舞危惧」

タイトル通りですが、中国から投資マネーが逃避し始めたと言います。

ウクライナに侵攻したロシアに対する経済制裁、および、ロシアの通貨と証券が暴落したことを受けて、中国のような強権的な政治・外交体制の国に対しての投資を見直す動きが広がっていると指摘されています。中国以外の新興国ではそうした動きは見られず、まさに異例な出来事だというのが国際金融協会(IIF)の分析です。

2022年の1~3月の外国人投資家による売り越し額(買われた額よりも売られた額が上回った金額)は、中国の債券・証券合わせて約384億元(7400億円)ともなりました。特に3月の流出は451億元。ウクライナへの侵攻が開始してからはっきりと流入基調がストップしました。

約7年間ほぼ安定して買い越しが続いていたなかで、外国人投資家が中国に向ける目は大きな転換点を迎えたとみる専門家もいるようです。

近年、アメリカと中国のマネーの「相互依存」は非常に高まってきました。
・中国 ⇒ アメリカ
2.12 兆ドル
・アメリカ ⇒ 中国
1.2 兆ドル
合計3.3兆ドルの証券・債券が相互に保有されています。このマネーの逆流が大きな流れとなれば、世界に非常に大きな影響を与えることは必至です。


米中間のマネーの「デカップリング(分断)」はすでに2016年から顕著だったと分析されています。中国政府が対外投資への審査を強化することによって、アメリカ企業に中国資本企業が買収されるケースが激減しました。またアメリカも、米国資本が中国企業へ投資することへの規制を強めています。

話はややこしいですが、「直接投資」と「証券投資」という違いを考えると良いかと思います。相互保有するマネーは量の面では確かに流入してきましたが、それは「証券投資」として配当や売却益をねらう投資運用のマネーのこと。例えば株式の10%を超すような「直接投資」のような支配力の高い投資はお互いに規制を高めて、分断のダメージを抑えるようリスクを控えてきた、と言えばわかってもらえるでしょうか。

米中がお互いに大きく依存しない、独立した経済圏の形成を目指す姿勢が見て取れます。このまま更に、量的な相互依存すらも分断に進んでしまえば、世界経済に及ぼす影響や損失は計り知れまないと専門家は危惧しています。


②「自社株買い7割増、昨年度8兆円 成長投資に回らず」

日本の上場企業による自社株買いが加速しています。前年度比7割増となり、8兆円超に上ると言います。

自社株買いとは、書いて字のごとく、上場している株式を自社で買い取ることですが、複雑な問題をはらんでいます。企業が発行した証券を企業が高値で買い取るため、売却益や株価の上昇から「株主還元(実質上の配当)」とみなす考え方が主流ですが、勿論ことはそう単純ではありません。

【企業側メリット】
・株主が企業価値を評価するROE・PER・PBRなどの指標が改善するので、より魅力的な投資先に見えやすくなる。
・ストックオプションとして社内のインセンティブに利用できる
・敵対的買収に強くなる
・企業合併や企業買収の際に、現金の代わりに自社株を交換することで、現金を調達する負担が減る

【企業側デメリット】
・他者から株を買い取ることになるので、キャッシュフローが悪化する
・キャッシュと株式を交換することで資産が縮小し、自己資本比率が低下する
・上記2点から、BSを慎重にコントロールしなければ、むしろ企業評価が下がる可能性がある


【投資家メリット】
・ROE・PER・PBRなどの指標が改善するので、より買われやすくなり、株価が上がる。
【投資家デメリット】
・株主が利確に走れば、株価が乱高下して市場が混乱する
・せっかく調達したお金を、事業に投資していないということは、今後の成長があまり見込めないのではと市場に判断され、株価が下がる可能性もある


ボリュームが多くなりました。。

リーマンショックで株が急落したとき以来に自社株買いが進んだだけに

その中で、今回のトピックとなる理由は2点
・東証再編によって特定の大株主の株を買い取り、市場に流動性をもたせる必要があった。
・資金を投資する対象である成長事業を、なかなか見い出せずにいる傾向が強い。


21年6月に改定されたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、企業同士による株の持ち合いが株式の流動性を妨げ、経営の不健全化につながっているなどの事から、持ち合い解消を求めています。それによって今後も更なる自社株買いが進むと見られています。

もともとキャッシュが潤沢と言われる日本の大企業。コロナ禍からの復活によって利益水準を少しずつ回復させている企業は少なくありません。こうして自社買いによる株主還元を経て、次に目指すところは何処にあるのでしょうか。

アクティビストファンドの注目点は企業の成長を通した利益の追求でしかなく、日本の経済そのものに対しての本来の配慮は望むべくもありません。もちろん経営の透明化は必要なことですが、それらを通して、日本の国民がどのような恩恵を受けるのかという視点を忘れないようにしたいです。


③「ロシア軍、キーウ近郊の空港から撤退 マリウポリ住民 3000人脱出」

呼称が「キエフ」から「キーウ」に変更になりましたね。ぼくも「キーウ」と呼ぶようにします。

マウリポリの人道回廊が機能していないという報道が続いていましたが、4月1日には3000人以上の住人が脱出に成功したと伝えられています。赤十字国際委員会では2日にもまた退避支援を再び試みるとしています。

ところが、どうやらこの3000人と言うのは、自力で脱出した市民とみられるようです。。十数万人の退避が進んでいない現状で、その市民がこうして包囲によって身動きをとれずにいると想像するだに、胸が締め付けられます。

キーウからの撤退が報じられるロシア軍も、迂回して東南部の援護に回ったとすれば決して事態が改善したと言えません。まずは一刻も早くマウリポリからの脱出を達成するように、両軍にたいして望んでいます。


④「対ロ制裁「参加国拡大」 ハイテク輸出規制で米高官」

アメリカのケンドラー商務次官補は、ロシアに対するハイテク製品の輸出に対して厳しい制裁を継続する考えを述べ、関係各国にも水面下で参加を促していることを示唆しました。半導体などの製品に対する対ロシア輸出規制はすでに33ヵ国に導入され、アジアのシンガポールなどを加えることで、制裁の実行力を高めたい狙いです。

また同時にアメリカは、ハイテク覇権を争う中国に対しては厳しく言及しました。中国は、半導体受託生産最大手である「SMIC」などの巨大ハイテク企業の拡大によって、半導体の自給率を着実に引き上げています。これをアメリカは非常に警戒しています。

中国やロシアに対しては今後さらに、実用化前の進行技術の流出に対しての規制を強化すると見られ、日本に対しても、連携の強化を求めています。

しかしながら、自給率を高めるということは、相互依存を解消し、圧力の効果を薄める狙いがあるという事です。「デカップリング」とも関係してきますが、結びつきが薄くなれば、圧力がかけにくくなるわけなのですが、このバランス感覚は、難しいかじ取りを求められそうです。



【社説】
「男性の育休」を古い働き方変える契機に
金融を深く学ぶ環境整えよ

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