日本経済新聞
2022/3/23 朝刊一面
2022/3/23 朝刊一面
①ロシア発、建設コスト急騰 ビル用鋼材13年ぶり水準 設備投資延期や工事遅れも」
ロシア発の資源高を受け、建設資材価格が急騰している模様です。ビルや住宅の軸になる鋼材、木材やセメントなど多くの材料が含まれます。原料価格の高騰はウッドショック・メタルショックなどとも言われ、コロナ禍の供給制約から顕著な上昇傾向にありましたが、ここにきて更に加速しています。このまま建材の高止まりが続けば、設備投資の延期を図る企業が増え、景気の重荷になると紙面は指摘しています。
参考
東京製鉄は22日、建設用鋼材の価格を全品種(H形鋼・ステンレス・合板 etc.)で1トンあたり6~9%引き上げると発表しました。これらは、リーマンショック直前の高騰以来約13年半ぶりの値や、過去最高の値を記録しています。
世界鉄鋼協会によると2020年には世界の鋼材輸出量の約11%をロシアとウクライナが占めています。ウクライナ東部の地域には鉱山と大規模な製鉄所がありますが、操業が停止しています。こうしたことによる供給懸念が強まっています。
ステンレス鋼材の価格は上昇がこのまま続く見通しです。ステンレス鋼の原料であるニッケルは、ロシアが世界の主要な生産国として1割以上のシェアを占めています。国内最大手の日鉄ステンレスと2位の日本冶金工業は、ニッケルの原材料価格を製品価格に反映することが出来ず、新規のスポット契約を一週間以上ストップさせています。
アルミ相場にも影響を及ぼしています。ロシアは、アルミニウムの世界シェアもを占めますが、アルミニウムの原料であるアルミナの2割をオーストラリアからの輸入に頼っています。オーストラリアのモリソン首相はすでに、ロシア向けのアルミナの禁輸を発表しています。ロシアのアルミ生産が大きな供給制約をうけることが予想されます。
参考
建材コストは、建築費の約5~6割を占める場合が多く、建設会社や発注企業にとっても負担が大きくなります。そうしたことから設備投資への躊躇が強まると、公共事業の滞りなど幅広い影響がでてしまいそうです。
②「円、6年ぶり121円 歯止めかかりにくく 薄れる輸出恩恵/有事の買い低調」
アメリカFRBによる利上げに対し、金融緩和の方針を変えない日銀と言う、金融政策の違いが円売り・ドル買いを決定づける材料となっています。
過去は、円安になれば輸出が伸び、稼いだドルで円を買い戻すという調整が働きましたが、いまでは海外生産・海外消費の割合が増えたため、円安になったとしても輸出が伸びるとは言いにくくなってきました。
2016年にくらべて円安のブレーキが効かない理由は、輸出の伸びの悪さに加え、インバウンド(訪日外国人)需要のストップもありますが、なにより大きな違いは「原油価格」だといいます。
2016年には原油価格が1バレル30~60ドルでしたが、それが現在では100ドルを超します。円安による輸入コストの増加をもろにくらう事で、貿易収支の赤字拡大につながるような「悪い円安」の側面が強いと紙面は語っています。
アメリカFRBによる利上げに対し、金融緩和の方針を変えない日銀と言う、金融政策の違いが円売り・ドル買いを決定づける材料となっています。
過去は、円安になれば輸出が伸び、稼いだドルで円を買い戻すという調整が働きましたが、いまでは海外生産・海外消費の割合が増えたため、円安になったとしても輸出が伸びるとは言いにくくなってきました。
2016年にくらべて円安のブレーキが効かない理由は、輸出の伸びの悪さに加え、インバウンド(訪日外国人)需要のストップもありますが、なにより大きな違いは「原油価格」だといいます。
2016年には原油価格が1バレル30~60ドルでしたが、それが現在では100ドルを超します。円安による輸入コストの増加をもろにくらう事で、貿易収支の赤字拡大につながるような「悪い円安」の側面が強いと紙面は語っています。
③「公示地価、2年ぶり上昇 全国0.6% 在宅勤務で住宅地堅調」
国土交通省が22日発表した2022年1月1日時点の公示地価が、前年のマイナスから一転、0.6%上昇しました。経済が徐々に持ち直していること、在宅勤務の広がりによって、住宅需要が堅調な推移を見せていることがプラス要因となったといいます。
埼玉、千葉、埼玉などの住宅地の価格は顕著に上昇し、さいたま市では1.5%もの上昇を見せました。とくに首都近郊では、子育て世代が東京都から転出が転入を上回ったことなどから、都心中心の生活スタイルからの変化が影響を及ぼしていると考えられます。
一方、商業地に関しては、一都三県を中心に回復傾向にあるものの、都心部(中央区、千代田区、港区)は依然としてマイナス圏に留まっています。オフィスビル仲介大手の三鬼商事によると、新宿・渋谷を加えた都心5区の空室率は2月に6.41%と、供給過剰の目安となる5%を13カ月連続で上回ったそうです。
東京には、来年には更なるオフィスビルの大量供給が見込まれています。このまま供給過多が続けば、市況の押し下げ要因として懸念されます。
国土交通省が22日発表した2022年1月1日時点の公示地価が、前年のマイナスから一転、0.6%上昇しました。経済が徐々に持ち直していること、在宅勤務の広がりによって、住宅需要が堅調な推移を見せていることがプラス要因となったといいます。
埼玉、千葉、埼玉などの住宅地の価格は顕著に上昇し、さいたま市では1.5%もの上昇を見せました。とくに首都近郊では、子育て世代が東京都から転出が転入を上回ったことなどから、都心中心の生活スタイルからの変化が影響を及ぼしていると考えられます。
一方、商業地に関しては、一都三県を中心に回復傾向にあるものの、都心部(中央区、千代田区、港区)は依然としてマイナス圏に留まっています。オフィスビル仲介大手の三鬼商事によると、新宿・渋谷を加えた都心5区の空室率は2月に6.41%と、供給過剰の目安となる5%を13カ月連続で上回ったそうです。
東京には、来年には更なるオフィスビルの大量供給が見込まれています。このまま供給過多が続けば、市況の押し下げ要因として懸念されます。
④「22年度予算が成立 首相、原油高対策など指示へ」
22日に、参議院本会議で、2022年度の予算案が可決されました。10年連続、過去最大となる107兆5964億円を計上しました。
社会保障費、防衛費も過去最大となりましたが、ここに、ウクライナ侵攻による物価高は考慮されておらず、必要な予算は盛り込まれていません。首相は、4月中には、ガソリンや食料品の価格高騰に対応売るための政策パッケージを作成、参院選前には執行することを目指すと見られます。
22日に、参議院本会議で、2022年度の予算案が可決されました。10年連続、過去最大となる107兆5964億円を計上しました。
社会保障費、防衛費も過去最大となりましたが、ここに、ウクライナ侵攻による物価高は考慮されておらず、必要な予算は盛り込まれていません。首相は、4月中には、ガソリンや食料品の価格高騰に対応売るための政策パッケージを作成、参院選前には執行することを目指すと見られます。
⑤「SMBC日興を起訴へ 相場操縦罪で東京地検 監視委、近く告発」
相場操縦のような犯罪に対しては、金商法によって、個人だけでなく法人にたいしても罪が問われます。東京地検特捜部は、証券取引等監視委員会が告発するのを待って、SMBC日興証券にたいして刑事処分を加えるものと見られています。
違法な株取引が、まさに業務の一部として日常的に繰り返されることは、組織側にも、不正を防ぐための管理体制が不十分だったという責任があると言えます。相場操縦罪は、金商法でも最も重い刑罰を科された罪です。市場の公正を担う、大手証券会社がこの罪に問われることは、社会全体におおきな衝撃を与えたのではないでしょうか。
【社説】
違法な株取引が、まさに業務の一部として日常的に繰り返されることは、組織側にも、不正を防ぐための管理体制が不十分だったという責任があると言えます。相場操縦罪は、金商法でも最も重い刑罰を科された罪です。市場の公正を担う、大手証券会社がこの罪に問われることは、社会全体におおきな衝撃を与えたのではないでしょうか。
【社説】
安定供給の回復へ電力制度を総点検せよ
交渉停止に臆せず対ロ圧力を